台風被災の三陸鉄道(陸中山田―津軽石)運行再開〜釜石までの全線復旧は3月20日に
3カ月ぶりに運行を再開した三陸鉄道=16日午前11時43分、陸中山田駅
昨年10月の台風19号災害で大きな被害を受けた三陸鉄道は16日、陸中山田―津軽石(17・3キロ)で3カ月ぶりに運行を再開した。陸中山田駅ではセレモニーが行われ、待ちに待った運行再開を喜び地域が一つになった。一時は全線の約7割が不通となったが、同区間の復旧で不通区間は約4割となる。引き続き釜石―陸中山田(28・9キロ)などの復旧を進め、3月20日の全線再開を目指す。
陸中山田―津軽石間で行われていた復旧作業は今月11日に終了し、15日には運行再開に向けて試運転が行われた。
16日、陸中山田駅には午前11時43分着の列車に地元住民ら約200人が集まり、待望の運行再開を祝った。地元の4つの幼稚園や保育園から90人余りの園児が手作りの小旗を振り、「まってたよー」「おかえりなさーい」と歓声を上げ、列車を迎えた。地元商工会の人たちは大漁旗を振って運行再開を喜んだ。
「これからも よろしくね」と手製の横断幕で歓迎する地元の幼稚園・保育園児ら
特産のカキ汁約100食を振る舞った三陸やまだ漁協女性部大浦地区部長の阿部秋子さん(62)は「人との交流が地域を活性化させる。ぜひ三鉄に乗って山田に来てほしい」と願った。
三陸鉄道の中村一郎社長は「大歓迎していただいている姿を見て、地域のみなさんの期待を感じた。引き続き、しっかりと頑張っていきたい。新たなスタートを切る気持ちで全線運行再開を迎えたい」と決意を新たにした。
三陸鉄道リアス線(163キロ)は計77カ所で土砂流入や路盤消失などの被害があり、一時は全区間のうち約7割が不通となった。今回の区間復旧で、約6割が運行可能となった。2月上旬に田野畑―普代(9・3キロ)、3月20日までに釜石―陸中山田、普代―久慈(26・1キロ)を再開させる方針で復旧に取り組む。
3月22日には、宮古―釜石間で東京五輪の聖火を運ぶ「復興の火」のイベントも予定されている。
(復興釜石新聞 2020年1月18日発行 第859号より)
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