夢の聖火ランナーに、岩手県トライアスロン協会会長 三上さん〜五輪イヤーに大きな希望、6月18日 リレーでつなぐ
“復興五輪”を盛り上げたいー。被災地での聖火リレーを楽しみに待つ三上雅弘さん
東京五輪・パラリンピックが開催される2020年が、いよいよ幕を開けた。「復興五輪」を掲げる同大会の注目の一つが、東日本大震災被災地での聖火リレー。公募で聖火ランナーに選ばれた釜石市大町の任期付き市職員三上雅弘さん(56)は「一生に一度のこと。夢のよう」と、幸運を手にした五輪イヤーに大きな希望を膨らませる。
全国47都道府県を巡る聖火リレーは3月26日の福島県を皮切りにスタート。岩手県は39番目の通過地で、6月17~19日までの3日間、28市町村の52・16キロ(264区間)で聖火がつながれる。三上さんは18日、岩泉町から陸前高田市まで沿岸8市町村で実施されるリレーで、いずれかの区間(1人約200メートル)を走ることが決まっている。
一般公募ランナーの募集は昨夏行われ、5つの応募先(各都道府県実行委、リレー協賛4社)が設けられた。全てに応募した三上さんは、協賛の日本コカ・コーラ枠で当選を果たし、昨年12月25日に正式決定通知を受けた。
応募フォームにはアピールポイントなどを書く作文欄がある。岩手県トライアスロン協会の会長を務める三上さんは、甚大な被害を受けた震災から立ち上がり、仲間と力を合わせ「釜石はまゆりトライアスロン国際大会」を復活させたことを書いた。
復活したはまゆりトライアスロンで笑顔満開の三上さん(前列左)=2015年
釜石市内の走行コースは魚河岸から市民ホールTETTOまでの約1キロ。日本一7連覇の元新日鉄釜石ラグビー部で、現日本ラグビー協会会長の森重隆さん(68)ら2人が県推薦のランナーとして発表されており、「計算上、公募ランナーは3人走ることになるのではないか。できれば地元釜石のコースを走りたい」と三上さん。
2011年の震災では、時計店を営んでいた只越町の店舗兼自宅が津波で全壊。定内町の仮設住宅で7年間暮らし、18年4月、大町に再建した自宅に移った。「被災後は多くの支援、応援を受け、ここまで来ることができた。1人ではなく、思いを寄せてくれた人たちみんなで走るというイメージで、聖火をつなげられたら」と願う。
大会でのもう一つの楽しみは、2000年のシドニー五輪から採用されたトライアスロン競技。震災後の釜石大会には08年の北京五輪で歴代日本人最高の5位入賞を果たした井出樹里さん(36)が3年連続で出場し、最後のゴールまで選手を鼓舞する姿が選手、スタッフに勇気を与えた。「東京五輪から新たに男女のミックスリレーも行われる。いずれかで日本人がメダルに絡んでくれれば、競技の普及に弾みがつく」と期待を寄せる。
釜石南高(現釜石高)時代はラグビー部に所属。ボランティアから始まった釜石のトライアスロンには選手、役員として長年携わり、ジョギングで鍛える健脚で仙人峠マラソン大会への出場も続ける三上さん。
「スポーツは人の心を動かす大きな力がある。昨年のラグビーワールドカップ(W杯)同様、感動あふれる年になれば」
ラグビーW杯から東京五輪へ―。世界的スポーツの祭典に心躍る1年が再び始まる。
(復興釜石新聞 2020年1月8日発行 第856号より)
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