「鉄づくりの森」復元へ、橋野鉄鉱山で枝打ち作業〜120年後の広葉樹林を思い描き

復興釜石新聞2019/10/30

作業したスギ林の前で天皇即位の祝い気分で記念撮影

作業したスギ林の前で天皇即位の祝い気分で記念撮影

 

 釜石市橋野町青ノ木の「ユネスコ明治日本の産業革命遺産・橋野鉄鉱山」周辺の森林環境を約170年前の創業当時によみがえらせようという「森づくり育樹祭」(釜石市、林野庁東北森林管理局三陸中部森林管理署共催)は22日、現地で行われ、県、近隣自治体、林業事業所と地元栗橋地区住民など市民も加わり、70人がスギの枝打ちに精を出した。この日は天皇即位礼正殿の儀のため祝日となり、小雨模様となったものの、参加者の表情は晴れやかだった。

 

 作業区画は三番高炉跡の東側に接する国有林のスギ林約1ヘクタール。樹齢19年と30年が並び、参加者らはのこぎりを手に枝を切り落とした。チェーンソーを用意した人は倒木を切断。最後に、近くに整備した遊歩道で、台風19号などの大雨による流出部分を補修した。

 

枝打ちを終え、遊歩道の整備も行う参加者

枝打ちを終え、遊歩道の整備も行う参加者

 

 市の橋野高炉跡史跡整備検討委員会委員を務める栗林町の小笠原房子さん(69)も、のこぎりを操った。「持ち山はありますが、庭木の手入れ程度で、スギの枝打ち作業は初めて。木には関心があり、森づくりに協力したい。多くのみなさんにも参加してほしい」と願った。

 

 橋野鉄鉱山の世界遺産登録は2015年。遺産の資産範囲と、それを取り巻く緩衝範囲の山林はほぼ市有林と国有林で占められる。釜石市と同森林管理署は17年に「橋野鉄鉱山郷土の森保護協定」を締結。橋野鉄鉱山の稼働時代の林相を取り戻す事業の継続を取り決めた。育樹祭は市民参加の一事業で3回目。一番高炉跡の東部分から始め、今年は三番高炉跡付近に着手した。

 

 三陸中部森林管理署の小笠原孝署長は「橋野高炉が操業した時代には広葉樹林に囲まれていただろう。今からその景色に変えるには120年は必要と見込む。台風の被害が続いたが、しっかりした森林管理は、地球温暖化防止、大きな災害の予防にも役立つ」と活動の意義を強調した。

 

 一帯のスギなど人工造林は枝打ち、間伐などの管理を経て、伐期を迎える。その後、広葉樹林への本格的な育樹に移行する。

 

(復興釜石新聞 2019年10月26日発行 第836号より)

 

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