高額ストーブ ふるさと納税返礼品に〜「まさか」の希望者相次ぐ、石村工業「これで火が付けば」


2019/07/26
復興釜石新聞アーカイブ #産業・経済

ふるさと納税の返礼品としてこれまで2台が贈られた石村工業の「クラフトマンC3」。石村社長(右)は「これで販売に火が付けば」と期待する

ふるさと納税の返礼品としてこれまで2台が贈られた石村工業の「クラフトマンC3」。石村社長(右)は「これで販売に火が付けば」と期待する

 

 釜石市「ふるさと納税」の返礼品の一つとして登録されている石村工業(釜石市大平町、石村眞一社長)製の薪(まき)ストーブが、これまで2件、希望した納税者に返礼品として贈られた。市が発行する返礼品カタログでは15万円もする“高額品”。「まさか、希望する人が出てくるとは」と石村社長(66)は驚きを隠せない。3年前にアウトドア用として発売したこのタイプは販売が伸び悩んでいることから、「これをきっかけに火が付けば」と期待をかける。

 

 同社は国内でただ一つ、薪・ペレット兼用で電気を使わないストーブを20年前から生産。これまでに沖縄県を除く全国に約2600台を販売している。この実績を生かし、持ち運び可能で、屋外で使用するキューブ型薪ストーブ「クラフトマンC3」を開発。2016年から販売を始めた。

 

 縦57・7センチ、横43センチ、奥行き56・3センチとコンパクトで、重さは28キロと従来型のほぼ3分の1。アウトドア需要の高まりや、震災時に電気を使わない暖房設備の重要性を認識した経験を生かして開発した。

 

 返礼品の登録拡大、納税者への発送業務を市から受託するかまいしDMCの若林正義さん(釜石リージョナルコディネーター=釜援隊)が、これに着目。昨年、返礼品カタログに登録した。

 

 商品一式(専用煙突セットを含む)で15万1200円。50万4千円以上の納税者が対象となる。市が返礼品として登録する約130点の中では“ダントツ”の高額品。登録拡大に力を入れてきた若林さんも「正直、希望する人はいないだろうと思っていた」と明かす。

 

 しかし、昨年11月に初めて奈良県在住の個人が返礼品として希望し、今年6月には岐阜県内の薬局が返礼品に選んだ。「1件目は、来たか―という感じで受け止めたが、2件目にはビックリ」と若林さん。「これを弾みに、ふるさと納税がさらに増えれば」と期待する。

 

 石村工業で薪ストーブの販売を担当する三浦純一営業部長によると、これまで3年間で「C3」が売れたのは約80台。「自信の製品だが、伸び悩んでいる。価格が安いだけに、いっぱい売らないと」と苦戦を明かすが、最近ではネットのウェブショップで購入し、ユーチューブで発信する人も現れ始めているという。

 

 石村社長は「高額なウチの製品を返礼品に選んでもらい、本当にうれしい。このストーブで少しでも釜石のことを思い出していただければ」と願う。

 

(復興釜石新聞 2019年7月20日発行 第809号より)

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