バス路線再編スタート〜「地域住民の足」維持継続、幹線・支線に分け運行
青ノ木ー鵜住居駅間を運行する「釜石市北部コミュニティバス」
仮設住宅の集約や国の補助金縮小、バス事業者の運転手不足など震災後の環境変化を踏まえ、釜石市と岩手県交通は持続可能な公共交通を維持するため、1日から市内のバス路線を再編した。国道などの幹線部は県交通、半島、山間地域の支線部は市が委託する事業者が運行を担い、「地域住民の足」を確保。従来の経路を維持し、通学、通勤、通院に配慮したダイヤが組まれた。
支線部として運行を開始したのは南部が①尾崎白浜・佐須方面②荒川・大石・唐丹方面、北部が③箱崎・箱崎白浜・室浜方面④青ノ木・中村方面。①と③は「にこにこバス」(10人乗りハイエース、要事前登録・予約)、②と④は「コミュニティバス」(28人乗りマイクロバス、予約不要)で運行する。
初日は幹線と支線の乗り継ぎ拠点となる2カ所で、両車両の出発式が行われた。北部の鵜住居駅前ロータリーでは、野田武則市長、コミュニティバス(青ノ木~同駅)を運行する岩手旅行社の菊池録郎社長、にこにこバス(箱崎白浜~同駅~室浜)を運行する前勝タクシーの前川勝也社長ら出席者8人がテープカット。運転手に花束を贈り、利用者を乗せた各バスが青ノ木、箱崎白浜方面へ向かった。
出発を見送った橋野町の女性(69)は「1カ所で釜石、大槌両方面への乗り換えができるのは便利。待ち時間に鵜の郷交流館も利用できる。運転免許がない人にとってバスは絶対必要。自分もいつかは運転できなくなるだろうから」と路線の維持を望んだ。
南部の拠点はみずかみ平田店駐車場。南部の運行は、スクー(旧文化タクシー)、釜石タクシー、岩手旅行社の3社が担う。
市内ではこれまで県交通バス、にこにこバス(市がタクシー業者に委託)、市のへき地患者輸送バスが運行。県交通は国の補助金を受け、仮設住宅の経由、定額運賃での運行を継続してきたが、乗客の減少や運転手不足などで運営が厳しくなり、市との協議の結果、幹線・支線化による再編に至った。
これにより幹線部は増便され、震災前の通常料金に戻して運行される。支線部は県交通が運行してきたダイヤを確保。へき地―は支線部のバスに統合される。料金は1乗車200円(一部100円)。通院を考慮し、支線部からのぞみ病院を経由し、教育センターまで直通で運行する朝の1便は400円。障害者や小学生、運転免許返納者への割引もある。支線、幹線を合わせても震災前の料金を上回らないよう設定した。
市によると今回の再編で、バス運行に係る市の持ち出し分は約2千万円(昨年度比)の負担軽減が見込まれるという。担当者は「仮設住宅が無くなれば、国の補助も終了する。便数の調整、料金の値上げなど、さらに見直しが必要になる場面も出てくるだろう」と今後の課題も見据えた。
新しい時刻表は県交通釜石営業所、市教育センター、各地区生活応援センターなどで入手できる。
(復興釜石新聞 2019年6月5日発行 第796号より)
市内路線バスの運行が変わります(6/1から) – 釜石市
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