釜石山田道路全線開通へ〜記念のウォーキング、400人が参加


2019/06/05
復興釜石新聞アーカイブ #地域

来月開通する道路に胸を躍らせながら、5・2キロのウオーキングに出発=小鎚第2トンネル前

来月開通する道路に胸を躍らせながら、5・2キロのウオーキングに出発=小鎚第2トンネル前

 

 三陸沿岸道路釜石山田道路(23キロ)が6月22日に全線開通するのを記念するウオーキングイベント「笑顔つながる三陸♥ヘルシーウオーク2019」は26日、開通を控えた釜石北インターチェンジ(IC)―大槌IC間(4・8キロ)で開かれた。県沿岸広域振興局保健福祉環境部が主催。県内外から集まった約400人が真新しい道路で汗を流し、復興の進展を喜び合った。

 

 同イベントは、沿岸地域の課題である脳卒中をはじめとした生活習慣病対策の一環として開催。体を動かす楽しさを味わい、日ごろの運動の実践につなげてもらおうと企画された。

 

 大槌町文化交流センターおしゃっち駐車場で行われた開会式で、石川義晃局長は「新しい道路を一歩一歩踏みしめ、沿岸地域がつながることを体感してほしい」とあいさつ。共催する南三陸国道事務所の折笠徹所長が道路概要を説明、大槌町の平野公三町長が参加者を歓迎した。

 

 現地までは大型バスで移動。コースは小鎚第2トンネル前をスタート、ゴール地点とする5・2キロ。釜石方面は鵜住居第2トンネル手前、山田方面は大槌IC手前を折り返し地点とし、2車線をまたぎ1周する形で歩いた。

 

 コースには小鎚第2(978メートル)、同第1(307メートル)の2トンネルがあり、中では道路クイズ6問をパネルで出題。歩みを進めると答えと解説が見られるよう配置された。小鎚(170メートル)、大槌(375メートル)両高架橋からは、町内の街並みが一望できた。参加者は各自のペースでウオーキング。開通後は歩けない自動車専用道路からの眺めを満喫した。

 

トンネル内では三陸沿岸道路クイズを楽しんだ

トンネル内では三陸沿岸道路クイズを楽しんだ

 

 釜石市ウオーキング協会に所属する野田町の多賀厚子さん(74)は昨年6月に腰を手術。この日が“再デビュー”となり、「一時は車椅子生活だったのが、こんなに歩けるまでに回復し最高。今日のために約1カ月前からトレーニングを重ねてきた」と、自分の足で歩ける喜びをかみしめた。

 

 地元大槌、桜木町の松原清さん(75)は「この区間だけ最後まで取り残された感じだったので、やっと追いついたという気持ち。道路を通して大槌も復興の仲間入りをしたようでうれしい。他からたくさん人が来てくれるまちになれば」と期待。自宅裏山の津波避難階段で鍛えた健脚で、記念ウオークを楽しんだ。

 

完歩した釜石、大槌の参加者は充実の表情

完歩した釜石、大槌の参加者は充実の表情

 

 震災後、復興道路として急ピッチで整備が進められてきた三陸沿岸道。釜石山田道路の同IC区間は、南三陸事務所が担当する54キロのうち最後の開通区間で、これにより気仙沼―宮古間約100キロの全線開通が実現する。

 

 折笠所長は「鵜住居で行われる9月のラグビーワールドカップ、7月の日本代表戦の前に―という希望に沿える形で開通できる。両IC付近の朝夕のラッシュも解消されるだろう。復興道路で三陸地域が一層元気になることが期待される。皆さんでどんどんアピールを」と呼び掛けた。

 

 釜石北IC―大槌IC間の開通は6月22日午後3時半からを予定する。

 

(復興釜石新聞 2019年5月29日発行 第794号より)

 

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