釜石大観音 建立50周年、まちを見守るシンボル〜「かのっち」お披露目
記念法要の参列者ら=8日
釜石市大平町の釜石大観音は建立から50周年を迎え、7、8の両日、記念行事を行った。住民の信仰の対象、釜石を代表する観光名所として親しまれてきた大観音。両日は拝観が無料となり、訪れた人たちは、慈愛に満ちた姿でまちを見守り続ける観音像を見上げ、50年の歳月に思いをはせた。
魚彩王国協賛の屋台村が出店し、にぎわいを見せた釜石大観音境内=7日
7日の式典では、運営する明峰山石応禅寺(大只越町)の都築利昭住職があいさつ。50周年記念で制作した同観音の新キャラクター「かのっち」がお披露目された。本県のPRキャラ「わんこきょうだい」を手がけた盛岡市のデザイナー、オガサワラユウダイさんがデザイン。「幅広い年代に愛されるように」との思いが込められた。境内には高さ150センチの「かのっち」像が設置され、グッズとしてクリアファイルなどが発売された。
都築住職らによってお披露目されたシンボルキャラクター
市内の詩吟、太鼓、鹿踊りの3団体が芸能奉納。仙台市在住の釜石ゆかりの書家・支部蘭蹊さんはオカリナ演奏の中、書のパフォーマンスを披露した。兄弟ピアノデュオ「レ・フレール」、女性音楽家4人による「スプラング・リズム」のコンサートもあった。
ツアーで訪れた盛岡市の小泉ケイさん(83)は建立間もないころに来た記憶があるといい、「観音様はどんな気持ちで津波を見ていただろう。海岸部の状況も見せてもらったが、工事中の所が多い。一日も早い復興を祈るばかり」と手を合わせた。
釜石大観音は明治、昭和の大津波、第2次大戦の2度にわたる艦砲射撃の犠牲者を弔い、世界平和を祈願しようと、1970年、同寺17世・雲汀晴朗氏の発願で、釜石湾を一望する鎌崎半島の高台に建立。東日本大震災では、地震で観音像の一部にひびが入るなどしたが、津波被害は免れた。震災後は市民結婚式の会場になり、2016年には「恋人の聖地」に選定された。
「桜舞太鼓」などが50周年を祝った芸能奉納
都築住職(49)は「全国からのお力添えで震災も乗り越えてこられた。観音様は人々の救済が本願。今まで以上に皆さんの心のよりどころになっていければ」と願った。
境内には、スリランカ国ケラニア寺院から分骨されたお釈迦様の遺骨をまつる仏舎利塔がある。8日は、仏舎利奉迎45周年と合わせた記念法要が営まれ、95人が参列。降誕会でお釈迦様の徳をたたえた後、雲汀大和尚、建立・運営尽力者を供養した。
像の修繕などを請け負う元持の元持成人社長(70)は「大観音は釜石に人の流れを生み、まちにも貢献してきた」と実感。梅花講の菊地恵美子さん(88)は「釜石のシンボル。何かの時にはここにお参りする人も多い」と愛着を示した。
(復興釜石新聞 2019年4月10日発行 第781号より)
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