たこ揚げに平和の願い込め、戦地のガザにメッセージ〜震災時の支援に感謝、釜石市内3会場で


2019/03/22
復興釜石新聞アーカイブ #地域

ガザへの思いを込め、たこを揚げる唐丹中の生徒=唐丹グラウンド

ガザへの思いを込め、たこを揚げる唐丹中の生徒=唐丹グラウンド

 

 戦闘や封鎖で長期にわたり厳しい生活を強いられるパレスチナ自治区ガザと東日本大震災被災地の釜石を結ぶ「たこ揚げ」が2、3の両日、釜石市内3会場で行われた。ガザ・ジャパン希望の凧揚げ交流会実行委員会が主催。震災以降、日本の被災地に向け、応援のたこを揚げ続けるガザの子どもらに感謝と平和を願うメッセージを届けようと、手作りたこが釜石の大空に舞い上がった。

 

 釜石からガザに向けたたこ揚げは、2015年3月に、NPO法人日本リザルツと国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の主催で初めて開催。同年11月には、ガザの子ども3人が釜石を訪れ、地元の子どもらと一緒にたこを揚げた。16年3月には、世界12の国と地域に同活動が拡大。平和と子どもたちの夢の実現を願う一大交流イベントに発展した。

 

運営に協力する釜石高2年生と参加者=釜石小会場

運営に協力する釜石高2年生と参加者=釜石小会場

 

 釜石のたこ揚げは今年、釜石小と釜石東中の校庭、唐丹グラウンドで実施。2日間で、子どもから大人まで約80人が参加し、思い思いの絵や文字を書き込んだたこを揚げた。

 

 釜石高の2年生8人は昨年に続き、ボランティアとして運営に協力した。「(ガザへの)恩返しになれば」と話す野呂文香さん。「お互いの国のことを思い、励まし合える関係ってすごくいい。下の世代につなぐのが自分たちの役目」と精力的に活動し、末永い交流を期待した。

 

 初回から継続参加する平田の木下美喜夫さん(69)は「日本の震災復興は着実に進んでいるが、向こうは(被災したまま)全然変わらない。病気とかも多く医療面が心配」と危惧。たこには「今より一歩、前進です。釜石―ガザ」と書き、現地の生活環境改善を願った。

 

 唐丹、平田、白山小の児童で結成する野球スポ少「釜石ファイターズ」の仲間と参加した金野快君(平田小5年)は「ガザには悲しい思いをしている人たちがいる。(たこ揚げで)何か伝わるものがあれば。みんなが楽しく暮らせる世界になってほしい」と思いを込めた。

 

 今年、日本国内では釜石のほか、広島、東京の高校生らがたこ揚げを実施。14日には、釜石・東京・ガザをスカイプでつなぐ交流会があった。当日、ガザでは、「JAPAN DAY」という行事が行われ、釜石の復興状況を伝える写真展も開かれた。

 

(復興釜石新聞 2019年3月16日発行 第774号より)

 

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