「プロジェクト伝」活動一区切り、ファイナルイベント〜ピーコさん「これからも応援」、つながった縁に感謝


2019/03/12
復興釜石新聞アーカイブ #地域

最後の集まりを楽しむ編み手と支援者

最後の集まりを楽しむ編み手と支援者

 

 手編みのニットを生産・販売することで東日本大震災被災地の自立を応援する活動に取り組んできたNPO法人プロジェクト伝(事務局・東京、鴨脚里子代表)は3日、「胸いっぱいお腹いっぱい《伝》ファイナルイベント」を釜石市の拠点、大只越町の釜石パンションで開いた。編み手の生活再建が進んだことなどから同プロジェクトは今月末で一区切り。音楽や料理を楽しみながらこれまでの活動を振り返り、つながった縁や支えに感謝の思いを伝え合った。

 

 この取り組みは、大只越町出身の鴨脚(いちょう)代表らが立ち上げた被災地支援プロジェクト。支援Tシャツを販売した収益を資金に、震災直後から釜石を中心に炊き出しや物資支援、コンサート企画など被災地を応援する活動を継続しながら現状を伝えてきた。

 

 活動する中で、被災地に必要なものは前向きに生きる気持ちの助け、自立への協力と感じ、2012年に釜石市内で編み手を募り、全国から寄せられた毛糸で製品作りを始めた。編み手は津波により自宅や職場を奪われるなどの被害を受けた女性たち。作品の売り上げは還元される仕組みで、被災後の生活再建に役立てられてきた。

 

 品質の高さを重視し、必要な技術を習得しながら製作。釜石や大槌町が中心だったが、首都圏から大量の発注があり、宮古市や住田町などにも広がった。のべ約100人が参加した。

 

 最後のイベントには市内外の編み手15人が参加。チェロとバイオリンによるクラシックコンサート、首都圏の料理人らでつくる団体「マザーライン」が腕を振るった料理で労をねぎらい、心と体を豊かに満たした。

 

 平田で被災し、現在は復興住宅で暮らす伊藤和子さん(76)は「好きなことでお小遣いになるならと始めた。月に一度集まってお茶するのも楽しかった。終わるのは寂しいが、教わったことを生かして編み物を楽しみたい」と明るい表情だった。

 

 「震災で地域に色彩がなくなり心が空っぽになった」と振り返るのは、箱崎町の矢野キヨ子さん(73)。そんな気持ちを明るく前向きに、希望を持たせてくれたのが、カラフルな毛糸だった。「どんなに救われたか。伝のみんなは心を寄せ続けてくれた」と感謝。「いつまでも支えにぶら下がっていられない。活動を通し自分たちも成長した。さまざまな巡り合い、つながりを大事に、ここで生きていく」と力をもらった。

 

 プロジェクト立ち上げ時から協力している、ファッション評論家・タレントのピーコさん(74)も参加。「8年間、おつかれさま。みんなの顔を見られてうれしい。縁ができたので、これからも応援する」と心を残した。

 

 鴨脚代表(49)は「法人としての活動は終えるが、個人的にお付き合い、応援し続ける」と約束。法人は解散するが、製品のペットボトル湯たんぽカバー、iPadカバー、ルームシューズのインターネット販売はなくなるまで続ける。

 

 問い合わせはプロジェクト伝(メールinfo@project―den.net/FAX03・5766・5681)へ。

 

(復興釜石新聞 2019年3月6日発行 第771号より)

関連情報 by 縁とらんす
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