釜石シーウェイブス、退団・引退選手にエール〜「来季こそ目標達成を」納会・感謝会で誓う


2019/02/14
復興釜石新聞アーカイブ #スポーツ

「来季こそ昇格を」と誓い合った釜石SWの納会・感謝会

「来季こそ昇格を」と誓い合った釜石SWの納会・感謝会

 

 釜石シーウェイブス(SW)RFCの2018年度納会・感謝会は6日、釜石市大町のホテルサンルート釜石で開かれた。選手やサポーターのほか、支援する企業などの関係者ら約150人が参加。本年度限りで退団・引退する11人の前途にエールを送った。

 

 今季のSWはトップチャレンジ(TC)リーグで7位に終わり、下部リーグとの入れ替え戦で中部電力を下して残留を決めた。

 

 納会で小泉嘉明理事長は「実力はあったが、昇格には届かなかった。今後もSWの伝統を守りつつ、諦めずに前進してほしい」と激励した。

 

 桜庭吉彦ゼネラルマネジャー兼監督は「目標は達成できなかったが、大きなプレッシャーの中でチームは成長することができた。強く、地域に愛されるチームとして来季こそ目標を達成したい」と誓った。

 

 今季限りで井上益基也選手(32)=日鉄物流釜石=ら10人が退団、元主将の佐伯悠選手(33)=エヌエスオカムラ=は引退する。

 

 納会で井上選手は「釜石で出会った人たちとは今後も付き合っていきたい。これからはグラウンドの外から応援する」とあいさつ。チームに籍は残しつつ、現役引退という形を選んだ佐伯選手は「今季は目標に届かなかったが、SWは本当にいいチーム。もっと強く、勝てるチームになってほしい」とチームメートに熱いエールを送った。

 

 選手、コーチとして4年間SWに貢献した松原裕司FWコーチ(39)は「こんな未熟なコーチに、選手はよくついてきてくれた…」と声を詰まらせながらも、「険しい道のりかもしれないが、来季こそいい結果を出してほしい」と託した。

 

「釜石大好き、後悔はない」佐伯選手 10日前に引退決断

 

 

12年間の現役生活に「悔いはない」と佐伯選手

12年間の現役生活に「悔いはない」と佐伯選手

 

 関東学院大の4年生だった2007年、釜石で行われたセブンス(7人制ラグビー)の大会に参加。バネのように躍動する柔軟なプレースタイルに目をつけた大学の先輩、当時の池村章宏ヘッドコーチ(HC)に誘われてSWの門をたたいた。「釜石がトップリーグ(TL)に上がれば、日本のラグビーは変わる」。池村HCの熱弁に圧倒されたという。

 

 あれから12年。入部当初からレギュラーとして定着し、震災後の3季は主将としてチームを引っ張った。チームの再生と復興に取り組んだ3年だったが、宿願のTL昇格は果たせず、3年前から左膝の痛みが出て出場機会もめっきり減った。今季は結局、公式戦出場ゼロに終わった。

 

 悩みに悩んだ末、桜庭GM兼監督に引退を申し出たのは10日ほど前。「コーチに」と引き留める話もあったが、あえて引退という形を選択した。今後は当面、会社員として生活しながらSWを外から見守り続けていくという。

 

 がむしゃらに走り続けてきた12年。「釜石が大好き。釜石でやって来たことを一度も後悔したことがない」。現役生活の中で最も印象に残っているのは、震災の年のリーグ戦初戦、主将として初めて公式戦に臨んだ日野自動車との試合という。

 

 10年前に結婚。6歳と2歳の男の子は現在、いずれもSWジュニアで楕円(だえん)のボールを追いかけている。

 

「震災で意識が変わった」井上選手 今後も復興をともに

 

「これからも釜石で生きていく」と井上選手

「これからも釜石で生きていく」と井上選手

 

「うまくできるか、何年できるか、不安があった」。釜石にやってきた9年前を、そう振り返る。

 

 京都の伏見工高から明治大に進んだが、けがに苦しみ、ラグビーを続けるか悩んだという。大学の先輩で現釜石SW最高顧問の高橋善幸さんに声をかけられ、結局釜石へ。

 

 スタンドオフ、スクラムハーフと、チーム事情に応じてポジションを替えながら、しぶとく生き残ってきた。

 

 14年度はバックスリーダーを務め、トップチャレンジ出場とトップリーグ入れ替え戦出場に貢献。15年度は副将も務めた。

 

 ラグビーと仕事の両立も初めはつらかったというが、震災を経験して意識が変わった。「物流の仕事とSW。どちらも、まちと一緒に成長してきた」と、復興への思いを新たにした。

 

 4年前に結婚し、女の子の父親ともなった。「これからは、お世話になった方々に仕事で恩返しを」。ずっと釜石で生きていくつもりだ。

 

(復興釜石新聞 2019年2月9日発行 第764号より)

 

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