釜石初 Jリーガーに、菊池流帆さん J2山口へ〜ユニバーシアード世界大会 DFで活躍、「いずれは日本代表に」と飛躍誓う


2019/01/17
復興釜石新聞アーカイブ #スポーツ

学生日本代表のデビューを果たしJリーガーとなった菊池さん

学生日本代表のデビューを果たしJリーガーとなった菊池さん

 

 釜石市出身の大阪体育大学4年、菊池流帆(りゅうほ)さん(22)は昨年12月、日本サッカー連盟のJ2「レノファ山口FC」(山口県)と選手契約した。国内最高峰のJ1をうかがうプロチームへ入団を決めたのは、釜石出身者では初めて。まずは山口での開幕戦スターティング・メンバーを目指す。菊池さんは正月に釜石へ帰り、Jリーガーとしてのスタートへ英気を養った。「いずれはヨーロッパのトップリーグ入り、日本代表へ」と、さらなる飛躍を誓う。

 

 菊池さんは定内町の自営業菊池公威さん(48)、祐子さん(47)の長男。サッカーは幼児期から始め、小佐野小から釜石中に進み、FC釜石(U―15)に入団。すでにプロ選手の道を決意していた。

 

 当時のコーチだった地方公務員小山善司さん(52)は「菊池君は“点取り屋”としてよく知られていた。性格は負けず嫌い。成長期で筋力のバランスが崩れ、本人は思うようなプレーができずに悩んだようだ。当時はフォワード(FW)だったが、監督は守備(DF)の練習も体験させた」と振り返る。

 

 菊池さんはサッカーの強豪、青森山田高に進学した。部員は約130人。同じ夢を抱いて全国から集まった、高い能力を秘めた集団に飛び込んだ。

 

 2年までは下部グループだったが、FWからDFにコンバートされて頭角を現し、3年でトップチーム、レギュラーに抜てきされた。全国選手権では1回戦敗退も、大会優秀選手に選ばれた。日本高校選抜チームの一員として初の海外遠征(ドイツ、オランダ、セルビア)を体験、「プロへの目標が現実味を帯びてきた」と菊池さん。

 

 さらにステップアップを目指し、大阪体育大に進学した。現在の身長は1メートル88センチ、体重83キロで、世界的にもDFとして遜色ないサイズだ。大学では順調にキャリアを積み、3年の2017年夏、ユニバーシアード世界大会台北大会に学生日本代表のDF(背番号3)で出場。守備の要として初めて日の丸を胸に公式戦のピッチに立った。結果は6戦全勝。総得点19、失点2の圧倒的な優勝に貢献した。本年度の関西大学リーグでも優勝を手にした。

 

2017ユニバーシアード大会では守備の要で優勝に貢献した

2017ユニバーシアード大会では守備の要で優勝に貢献した

 

 菊池さんは「プロは何よりメンタルの強さが求められる。今は競り合いにも、走っても負けない自信がある。元々負けず嫌い。そのためには練習だけでなく、日々の生活でも意識している。ストレスをためないよう、トレーニングも(当然のこととして)自分なりに楽しく取り組む。酒は飲まない。大学の食事は寮で自炊だった。難しかったけど、仲間同士で学び合った」と、プロの自覚を語った。

 

 足の爪は変形し、うっ血も見られる。「練習や試合で踏まれたり、ぶつけたり」と菊池さん。高いレベルでしのぎを削るトップ選手の証しでもある。

 

 後輩の釜石FC・U―15メンバーも菊池さんの躍進に期待する。釜石中2年のFW須知麗歩(れある)君は「(4年前の)高校選手権の試合をテレビで見た。J1は大変だが、J2も同じ。すごい」と驚く。同2年、ボランチの八幡晴翔(はると)君は「J2に行くのは相当難しい。すごく努力したと思う」と夢舞台に立つ価値を認めた。

 

菊池さんのJ2入りを喜ぶFC釜石U-15選手

菊池さんのJ2入りを喜ぶFC釜石U-15選手

 

 菊池さんは「好きなようにサッカーをさせてくれた両親、家族に感謝している」。後輩には、「自分の可能性を信じ、苦しくても自分の夢を語り、思い続けることが大事」とエールを送った。

 

 実家の家族と正月を迎えた菊池さんは「めっちゃボールを蹴りたい。サッカーの練習をしたい」と、2日に釜石から山口に旅立った。

 

(復興釜石新聞 2019年1月12日発行 第756号より)

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