「文化熱」新ホールで花開く、待望のTETTOで市民芸文祭〜展示部門20団体 発表部門に14団体、活動成果を一堂に

復興釜石新聞2018/11/13

ホールAはステージ発表と作品展示の会場に。各団体が活動成果を公開した市民芸術文化祭

ホールAはステージ発表と作品展示の会場に。各団体が活動成果を公開した市民芸術文化祭

 

 震災を乗り越えた釜石市民の文化への情熱が、待望の拠点施設で花開いた――。第48回釜石市民芸術文化祭(市、市教育委員会、市芸術文化協会主催)が2日から4日まで大町の市民ホールTETTOで開かれ、市内の活動団体が作品展示やステージ発表で躍動した。同祭の会場としてきた市民文化会館を津波で失って7年。新施設完成を待ちわびてきた市民らは、充実した環境で各種文化活動の成果を鑑賞し、「文化のまち釜石」の誇りを再認識した。

 

 3日午後に行われた記念セレモニーで野田武則市長は「新しいホールで、今まで積み重ねてきた取り組みを多くの市民に伝え、芸術文化の輪を大きく広げてほしい」とあいさつした。

 

優れた作品が並んだホールBの特別企画展示。テーマは「光の美術館」

優れた作品が並んだホールBの特別企画展示。テーマは「光の美術館」

 

 新ホールで初めての芸文祭を華やかに彩ったのは、ホールBを美術館風に仕立てた特別展示コーナー。釜石小が所蔵する放浪の天才画家・山下清(1922―71)の昆虫画、陸前高田市在住で仏パリの美術展で数々の受賞歴を持つ熊谷睦男氏の延年の舞・老女〈鎮魂〉シリーズ、芸文協加盟団体の代表作品をスポットライトで浮かび上がらせ、これまでにない空間を演出した。

 

 展示部門には芸文協加盟の20団体が参加。生け花、絵画、写真、書道など各分野の力作が並んだほか、茶道協会の呈茶があり、来場者の心を潤した。

 

芸術の秋を楽しむ来場者は茶道協会の呈茶でほっと一息

芸術の秋を楽しむ来場者は茶道協会の呈茶でほっと一息

 

 同祭参加16年目となるステンドグラス「BEHOLD(ビフォルド)」の会員、野中登世子さん(72)=大平町=は新ホールでの作品披露に「感激です」と喜びの表情。制作を始めて13年。「コツコツと集中していると、時間がたつのが早くて。毎日が充実している。少しでも長く続けられたら」と創作意欲をにじませた。

 

デザインや色づかいが目を引いたステンドグラスの展示

デザインや色づかいが目を引いたステンドグラスの展示

 

 発表部門には3日間で14団体・個人が出演した。今年は協会外からも出演者を募り、子どもの空手やエアロビックの参加も。和洋の演奏、歌、踊りと多彩なステージに観客から盛んな拍手が送られた。

 

かわいらしい衣装で華麗な舞を披露した「小柳玲子バレエ教室」の子どもたち

かわいらしい衣装で華麗な舞を披露した「小柳玲子バレエ教室」の子どもたち

 

 同祭を鑑賞するのは震災前以来という平田の佐々木和子さんは「皆さん一生懸命やられているんだなと驚いた。特別展示も素晴らしい」と称賛。自身も生け花に親しみ、震災前は作品を出品していた。講師を亡くし長らく休んできたが、会場で同じ流派の仲間と再会。「自主活動を始めたことを聞き、復帰を勧められた」と思わぬ出会いに顔をほころばせた。

 

 2011年の震災以降、同祭は中妻体育館やシープラザ遊・釜石を会場に開催。先人が培ってきた文化活動の魂を絶やさず、復興に向かう市民の癒やし、活力を生む場として大役を果たしてきた。運営の中心を担う市芸文協は、再出発となる今祭典に総力を傾注。次世代につなぐための試みにも挑戦した。

 

 同協会の河東眞澄会長は「各団体の苦労のかいあって形になった。今年が一つのベースになる。寄せられた意見を生かし、次につなげたい。協会員は高齢化が進む。小中高生を軸にした若い世代、協会の枠に捉われない参画を促し、釜石の芸術文化活動の継承、発展に努めたい」と今後を見据えた。

 

(復興釜石新聞 2018年11月7日発行 第738号より)

 

復興釜石新聞

復興釜石新聞(合同会社 釜石新聞社)

復興釜石新聞と連携し、各号紙面より数日の期間を設け記者のピックアップ記事を2〜3点掲載しています。

問い合わせ:0193-55-4713 〒026-0044 岩手県釜石市住吉町3-3

釜石の注目トピックス