本好き5人 おすすめの一冊紹介、楽しく書評合戦〜桑畑書店、初のビブリオバトル

復興釜石新聞2018/10/25

好きな本を紹介する発表参加者

好きな本を紹介する発表参加者

 

 東日本大震災の津波で被災し、昨夏、本設店舗での営業を始めた釜石市の桑畑書店(桑畑眞一社長)は13日、店内イベントとしては初となる「ビブリオバトル(知的書評合戦)」を大町復興住宅4号棟1階の同店で開いた。市内外の本好き5人が、おすすめの一冊を紹介。プレゼンテーションの後、参加者全員が読みたくなった本に一票を投じた。本を知り、人を知る読書の新たな楽しみに参加者は心躍らせ、継続開催を望んだ。

 

 ビブリオバトルは2007年、京都大の大学院生が考案。ゲーム感覚で誰でも楽しめる書評スタイルが受け全国に広まり、大学や書店、サークルなどさまざまな場でコミュニケーションツールとして活用されている。“ビブリオ”はラテン語で書物(本)を指す言葉。

 

 同店にはこの日、20人余りが集まり、桑畑社長が声掛けした発表者が、お気に入りの本を紹介。岩手大経済学部の杭田俊之准教授は「魚と日本人」(濱田武士)、釜石市郷土資料館の村上修館長は「点と線」(松本清張)、釜石地方森林組合で活動する釜援隊の手塚さや香さんは「ワーカーズ・ダイジェスト」(津村記久子)、市内で読み聞かせボランティアをする佐藤裕子さんは「最初の質問」(詩・長田弘、絵・いせひでこ)、釜石支援センター「望」の海老原祐治代表は「天下分け目の関ヶ原の合戦はなかった」(乃至政彦、高橋陽介)を持ち寄った。

 

 5人は1人5分の持ち時間で、その本に出会ったきっかけ、引かれるポイント、好きな描写、紹介理由などを熱く語り、興味をそそられた観客が盛んに質問を投げかけた。

 

 佐藤さん(65)は卒業間近の小学6年生に読んであげたという、29の問い掛けだけで構成された絵本を紹介した。日常生活や人生、世界について考えさせられる問いに「大人向けに発信してもいい本。自分自身に問い掛けながら読んでほしい。すぐに答えられなくても、これから答えが見つかるものもきっとあるはず」と勧めた。

 

 最後は、プレゼンを聞いて読みたくなった本に全参加者が投票。最も多くの票を集めた「天下分け目の―」には、“チャンプ本”の称号が与えられた。紹介した海老原さん(38)は「歴史小説の有名シーンには後に創作されたものも。われわれが信じている歴史は意外に怪しいということを見事に証明している本」とインパクトを示した。今イベントについては「共通の趣味で人が集まるのはコミュニティーの一つの策になる。本屋は知の発信地。活字離れが続く中、紙媒体の良さも含め共有する場になっていけば」と話した。

 

 観客として参加した女性(31)は「普段、自分が読まないジャンルの本に興味が湧いた。面白そうな本がいっぱい。こういうイベントをどんどんやってほしい」と期待を込めた。

 

 企画を温め、4年越しの夢をかなえた桑畑社長は「発表者には、いい本を紹介してもらい、観客も熱心に聞いてくれた。感謝、感謝です。いろいろなジャンルの人を集め、お客さんをつなぐ機会にもしていければ」と今後に意欲を示した。チャンプ本は、店内でも紹介する予定。

 

(復興釜石新聞 2018年10月20日発行 第733号より)

 

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