「助ける人」へ地域防災リード〜鵜住居小と釜石東中 初の合同避難訓練、中学生が小学生を誘導


2018/10/12
復興釜石新聞アーカイブ #防災・安全

中学生の力強さに信頼を寄せる児童は安心の笑顔

中学生の力強さに信頼を寄せる児童は安心の笑顔

 

 釜石市鵜住居町の鵜住居小(中軽米利夫校長、児童138人)と釜石東中(佐々木賢治校長、生徒117人)は4日、合同総合防災訓練を行い、中学生主導で避難者の誘導や避難所開設に当たった。

 

 両校は、東日本大震災前から合同で避難訓練を行っていた。震災時、中学生は率先避難を徹底。当時小学生だった生徒たちは現在、率先避難者はもちろん、「助けられる人から助ける人へ」と地域防災をリードする「率先支援者」にもなり得るよう学びを深めている。

 

 東中の体育館は地域の避難場所に指定されていて、今回の訓練は避難した後に避難所でできる活動について学び、行動できる力を身に付けてもらうことなどが狙い。逃げることだけではない、総合的な防災訓練として初めて合同で行った。

 

 地震発生で大津波が襲来するとの想定で実施。高齢者、けが人、外国人観光客、地域住民などに扮(ふん)して校庭に逃げて来た鵜小の中学年、中学校棟4階に避難した低学年の児童を東中の2年生が誘導した。3年の生徒は体育館に避難所を開設し、避難者に名前や年齢などを紙に書き込むよう促した。高学年の児童は小学校棟の教室を使って避難所の設営を学習。中学1年生は炊き出し、応急仮設トイレづくりに取り組んだ。

 

 車椅子使用者役の小林孝一郎君(4年)は「中学生が車椅子を持って階段を上っていて大変だと思った。真剣にやることを心掛けて訓練に参加して、逃げる場所や経路をしっかり確認できた。(中学生と)一緒に逃げられるのは安心」と笑みを見せた。

 

 震災時に小学1年生だった佐々木里桜(りお)さん(3年)は、中学生に手を引かれて津波から逃げたことを記憶しているという。「今度は私たちの番」と責任感を持ちながら訓練に臨み、今回は間仕切りの設置や備蓄用パンの配布など避難所運営を担った。「力仕事で大変だなと思うものもあるが、臨機応変に対応できた」と手応えを感じた様子。率先避難者として逃げ、助ける人になれるよう、積極的に行動できる力を磨きたいと意識を高めた。

 

(復興釜石新聞 2018年10月6日発行 第729号より)

 

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