逆境乗り越え踊り継ぐ、釜石よいさ 30回目の夏〜国際色も豊かに、36団体1900人がパレード
30回目の節目を迎えた釜石よいさ。約6千人の市民が集まった
釜石の夏を彩る「釜石よいさ」(同実行委員会主催)は4日、大町の特設会場で開かれた。東日本大震災による2年間の休止を経て復活して6回目、通算ではちょうど30回目。「踊り継ぎたい夏がある」を合言葉に、36団体、約1900人が熱い群舞を繰り広げた。震災後は支援などで釜石に入る外国人が増え、釜石よいさも国際色豊かに。幅広い年代の市民が息の合った踊りを披露し、1年後に迫ったラグビーワールドカップ(W杯)を成功させようと盛り上がった。
横断幕を掲げ、「ラグビーW杯を成功させよう」と呼び掛ける釜石SWの桜庭吉彦ゼネラルマネジャー兼監督(左)ら
釜石市民劇場は山車でラグビーW杯をPR
開会セレモニーで近藤和貴実行委員長(35)が「みんなで釜石の夏を盛り上げよう」とあいさつ。野田武則市長は「震災から7年、釜石はまだまだやれる、がんばれる」と呼び掛けた。
にぎやかに餅まきが行われたあと、震災にも負けずに活動する「箱崎虎舞」の面々が勇壮な舞を披露。釜石よいさの立ち上げメンバーで、シンガーソングライターとして活躍するあんべ光俊さん(64)が仙台市から駆けつけ、デビュー曲の「遠野物語」などを歌い上げて30回の節目に花を添えた。
震災を乗り越え躍動する箱崎虎舞
総勢50人の笛や太鼓が鳴り響き、そろいの浴衣姿の「よいさ小町」があでやかに前ばやしを披露すると、いよいよ本番がスタート。企業や団体、学校など、それぞれに趣向を凝らしたスタイルで踊りの輪が回り始めた。
あでやかな舞を披露する「よいさ小町」
元気よく練り歩く上中島こども園の園児ら
拓殖大、聖学院大、法政大の学生、外資系企業のUBS証券グループ社員など、釜石の復興を外から支え続ける団体も参加。数多くの外国人も踊りの輪に加わった。
涼やかな浴衣姿で踊りを披露したホアン・ティ・トウイさん(21)は、ベトナムからやって来た水産加工技能実習生。多くの仲間と釜石市国際交流協会のグループに加わり、〝日本の夏〟を満喫した。
ベトナムの水産加工実習生らも「ヨイサッ」
「すごく発展している日本で働き、学びたかった」とトウイさん。「ベトナムにはないお祭り。おもしろーい!」と笑顔で躍動した。昨年から3年間の予定で、大平町の井戸商店で働いている。浴衣をプレゼントした大橋武一社長(60)は「ベトナムの子たちはまじめによく働いてくれる。性格も非常に温和」と沿道で目を細めながら見守った。
イオンタウン釜石グループの先頭に立ったのは、同店の立ち上げに奮闘した及川和之さん(62)=イオンタウン営業統括部長。「4年前と比べ、まちににぎわいが増えた。地域に貢献する店になって良かった」と感慨を口にした。
(復興釜石新聞 2018年8月8日発行 第713号より)
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