夏祭り 釜石駅前に活気〜ラグビーW杯・三陸鉄道リアス線開通見据え、業者結束
雨を吹き飛ばす元気なダンスを見せた「いがったんたら」
震災で被災したJR山田線の復旧と三陸鉄道への移管による三鉄全線開通、ラグビーワールドカップ(W杯)開催を来年に控え、釜石市鈴子町の釜石駅周辺事業者らが、駅前のにぎわい創出へ乗り出した。イベント会場として親しまれた駅前大型テント「シープラザ遊」が解体され、集客に危機感を覚える事業者らは7月28日、初の試みとなる「釜石駅前夏祭り」を開催。出店やステージイベントなど多彩な企画で、市内外の来訪客を迎えた。
釜石駅前祭り実行委(宮川徹委員長=和の膳みや川)が主催。市内外の企業や団体、個人が多数協賛した。駅前広場、サン・フィッシュ釜石前に20業者がブースを連ね、飲食メニューや農水産物、自社商品などを販売。流しそうめん、餅つき、サクランボ種飛ばし選手権も行われた。同広場の特設ステージでは、釜石、大槌、盛岡からの出演者が各種ダンスや音楽ライブなどを繰り広げた。
定内町の佐藤壯多君(小佐野小3年)は双子の孝多君(同)と初めて流しそうめんを体験し、「たくさん取れて楽しかった。お腹いっぱい」と満足げな表情。母幸子さん(46)は解体が進むシープラザ遊の姿に寂しさも感じながら、「テントのイベントにも足を運んでいたので(解体は)少し残念。こうして子どもたちが喜ぶ催しをやってもらえるのはうれしい。来年はW杯もある。これを機に釜石が発展してくれれば」と期待を込めた。
流れてくるそうめんを上手にキャッチ!夏休みの思い出に
夕方からはサン・フィッシュ2階のテラスに一夜限りのビアガーデンをオープン。朝から降り続いた雨も上がり、蒸し暑さが増す中、職場や友人のグループ、家族連れなどが続々と訪れ、酒や軽食で交流を深めた。連絡通路でつながれたシープラザ釜石も会場とし、バンド演奏、虎舞、吹奏楽、ベリーダンスなどのパフォーマンスで楽しいひとときを提供した。
震災以降、釜石・大槌地区で復興支援のボランティア活動を続ける東京建設従業員組合の有志ら8人は、大槌で子どもたち対象の木工教室を開いた後、ビアガーデンに立ち寄った。木賀聖司執行委員長(60)は「大槌の人口流出が心配。若い世代が戻ってくれれば」と願い、震災から7年が経過した被災地に思いを寄せた。
同祭りに合わせ、マイヤ釜石店、シープラザ釜石でも関連企画を実施。駅周辺の関係者一丸となって、地区の盛り上げへ新たな一歩を踏み出した。
宮川徹委員長(46)は「駅前という立地は他にはない強み。民間の力を結集して、来てくれたお客さまをもてなすことができたら。今後も機会を捉え、さまざまな駅前祭りを開催していきたい」と継続へ意欲を見せた。
(復興釜石新聞 2018年8月1日発行 第711号より)
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