包丁研ぎで被災地支援、堺工科高(大阪)定時制生徒〜今回は鵜住居で活動、職人技で刃を再生


2018/08/06
復興釜石新聞アーカイブ #地域

 高度な職人技で刃物研ぎの支援を行う堺市の味岡さん(中)と高校生(右後列)

高度な職人技で刃物研ぎの支援を行う堺市の味岡さん(中)と高校生(右後列)

 

 東日本大震災被災地を持ち前の技術で支援する大阪府立堺工科高校(堺市)定時制の生徒らが25日、釜石市の鵜住居生活応援センターで「包丁の研ぎ直し」ボランティア活動に取り組んだ。周辺の住民が包丁や草刈り鎌など50丁を持ち込み、職人の技でよみがえった切れ味に感謝した。

 

 同校は地元で育まれたものづくりを学ぶ「堺学」を2005年から継続する。定時制の生徒が発案した支援のうち刃物は2012年から、生徒らも製作したステンレス包丁を宮城県名取市や釜石などの被災者に届け、昨年は東松島市や遠野市にも学校教材として贈った。

 

 今回のボランティア活動には、生徒2人と指導者ら9人が参加。このうち堺学で14年間、生徒らを教える味岡知行さん(74)は刃付け(研ぎ)の伝統工芸士で、堺市ものづくりマイスターの称号を持つ。若手の弟子4人を伴い、電動研磨機と共に車で参加。定時制は保田光徳進路指導部長(58)ら2人、総合学科3年の松下伊織君(17)と2年の竹内裕也君(19)が訪れた。16年に「アフターケア」の研ぎ直しで釜石市など6市を訪問しており、今回で2回目。

 

 愛用の刃物を持った住民が相次いで訪れ、予定外の鎌の研ぎも快く引き受けた。味岡さんらは回転研磨機を操ってさびを落とし、ぼろぼろになった刃も丁寧に再生させた。授業で特訓した生徒は砥石(といし)で仕上げ、親指の爪で切れ味を確認した。「ものづくりはハート。学校は人づくり」と語る味岡さんは、弟子や生徒の仕事ぶりを優しく見守った。

 

 去年も被災地を訪れた松下君は「空き地などの様子に、想像できない被害の大きさを実感した。少しでも力添えしたい。飲食店でアルバイトしており、家でも包丁を研ぐ。将来は料理を出す店を持ちたい」、竹内君は「溶接技術を生かし、車づくりにかかわりたい」と将来を見据える。

 

 近くの復興公営住宅で暮らす板澤龍太郎さん(73)は包丁2本を依頼。「きれいに輝きが戻った。料理もおいしくなるだろう。遠い所から来てくれてありがたい」と感謝した。

 

(復興釜石新聞 2018年7月28日発行 第710号より)

 

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