山火事跡に新たな芽吹き、自然の生命力を再確認〜尾崎半島で植物観測会

復興釜石新聞2018/07/31

山林火災の跡をたどり、植生や森林の再生について理解を深めた参加者(左端は鈴木会長)

山林火災の跡をたどり、植生や森林の再生について理解を深めた参加者(左端は鈴木会長)

 

 昨年5月に大規模な林野火災が発生した釜石市の尾崎半島で22日、釜石植物の会(鈴木弘文会長)が主催する植物観察会が開かれた。市内外から9人が参加。鈴木会長(73)の案内で尾崎白浜から青出し浜までを歩いて往復し、焼け跡から新たな芽吹きが見られることを確認した。

 

 鈴木会長は6月3日と7月11日、半島の南北2ルートで焼け跡を踏査した。約413ヘクタールを焼損した大規模林野火災。今回の植物観察会は、半島の植生、延焼拡大の要因、森林の再生を考えることなどを狙いに企画した。

 

 尾崎白浜地区の集落から林道に入り、環境省と岩手県が選定した「新・奥の細道~リアス海岸尾崎半島のみち」(6・1キロ)の約2・7キロ地点にある青出し浜の尾崎神社奥宮を目指した。最高気温が35・6度まで上がる猛暑日の中、休息をとりながら、起伏のある道を進んだ。

 

 鈴木会長は足元に残るタチハコベ、ミズタマソウ、イガホウズキなどの野草や、穂状の花を咲かせたリョウブなど希少な木を示し、食生活との関わりなどを伝えた。

 

 林野火災の焼け跡では、地肌まで焦げたスギ林と接する広葉樹林帯の被害が少なく、「新しい芽吹き(ひこばえ)が見られる」と再生力の強さを指摘した。

 

 鈴木会長の友人で釜石市出身の陶芸家伊藤正さん(65)=花巻市東和町=は妻信子さん(65)と参加。「すごい(山火事の)被害だ。雑木林が延焼を防ぐ働きをするのが如実に現れている光景だった」と驚きを語った。

 

 登山歴が50年近くになる釜石市平田の佐々木和子さん(78)は、猛暑の中、トレッキングに不慣れな参加者を気遣いながら往復。「最近は膝を痛めて本格的な登山はしないけど、ここは見たかった。植物や山林のことを教えられ、参加してよかった」と喜んだ。

 

 鈴木会長は「尾崎半島は元々、広葉樹林の自然林だった。山火事を契機に、火災など災害に強い、弾力ある森林づくりを考える必要がある」と提言する。

 

(復興釜石新聞 2018年7月25日発行 第709号より)

 

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