「ホタルの里」を大切に、小佐野地域会議 まつりでアピール〜環境保護へ意識高める、小佐野小児童は作文に思い込め
来場者はステージ上からまかれる餅に懸命に手を伸ばした
ゲンジボタルが生息する釜石市の小川川流域の発信と環境保全を目的とした「ほたるの里まつり」が8日、中小川集会所前広場で開かれた。小佐野地域会議(黒田至議長)が行うほたるの里推進事業の一環で、流域の4町内会などで組織する実行委が主催。6回目の今年は、新たに企画されたホタルに関する作文コンクールの表彰式や恒例の地元芸能の披露などがあり、約200人が楽しんだ。
祭り会場は、昨年解体された仮設団地の跡地の一角。ホタルの観察場所として長年親しまれる“ワッカラ淵”にほど近い場所に特設ステージが組まれ、歌や踊りが披露された。
注目を集めたのは、同祭り初の作文コンクール。小佐野小の全校児童を対象に、ホタルに関する作文(400字詰め原稿用紙2枚)を募集したところ、37点が寄せられた。学校審査で9点に絞られ、同地域会議役員らの採点で表彰する3点が決まった。
最優秀賞は川端心さん(6年)、優秀賞は小澤詩乃さん(3年)、特別賞は大久保利空君(同)の作品が受賞。祭り会場で表彰式が行われ、出席した小澤さん、大久保君に賞状と賞品、ホタルの捕獲観察許可証が贈られた。
優秀賞を受賞した小澤詩乃さん(左)と特別賞を受賞した大久保利空君
代表して小澤さんが作文を発表。道徳の本で、人間が流した水が原因でホタルや魚が別の川に引っ越してしまった話を読み、心を痛めた小澤さん。「川にごみを捨てたり悪い水を流さないように、しっかり気を付けないと。ホタルやその他の生き物も人間と同じ命があるから、大切にしなきゃいけない」と思いをつづった。
小澤さんは桜木町の仮設団地に暮らしていた時、小川川にホタルを見に来たが、数匹しか見つけることができなかったという。「今度はもっといっぱい飛んでいるのを見てみたい」と期待を膨らませた。
大久保君は、学校の中でホタルを見つけた経験を明かし、「ここにもいるんだとびっくりした。きれいな川を守るため自分たちもできることをやって、ホタルがもっと増えるようにしたい」と環境保護への意識を高めていた。
祭りは小川鹿踊り保存会の演舞、餅まきでフィナーレを迎えた。黒田議長は「子どもたちの作文を通して大人たちもホタルの勉強をさせてもらった。作文に書いたことを次のアクションにつなげてほしい」とコンクールの手応えを実感。「(ホタルが見られる)この場所を知らない人も多い。中小川のワッカラ淵を機会あるごとにPRし、沿岸のホタルの里として市内外に発信していければ」と願った。
今年も祭りを盛り上げた地元の「小川鹿踊り保存会」
地元住民によると、小川川のホタルは6月中旬ごろから発光が見られ、今年は昨年より下流域でも確認されているという。13日には市の観察会が予定される。発光時期は終盤で、早めの観察がお勧め。最もよく見られる時間帯は午後7時半~8時半ごろ。
(復興釜石新聞 2018年7月11日発行 第705号より)
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