高速フェリー釜石寄港〜ラグビーW杯活用も検討、観光振興に可能性
釜石港に試験寄港した「ナッチャンWorld」
2つの船を並べたような胴体構造が特徴の双胴型高速フェリー「ナッチャンWorld(ワールド)」(全長112メートル、1万549トン)が12日、釜石港に初寄港した。観光船としてイベントなどに活用されており、来年のラグビーワールドカップ(W杯)の盛り上げやさまざまな企画での活用を視野に試験寄港したもので、W杯の準備に関わる市担当部署の職員、港湾関係団体や報道関係者らに船内を公開した。
同船は旅客定員500人の大型フェリー。4階建てで、1、2階は車両甲板、3、4階が客室となっている。アルミ軽合金製の船体で、オーストラリアの造船所で建造。ウォータージェット推進機4機を備え、航海速力は30ノット(約55キロ)以上という。
かつては青森港と函館港を結ぶ定期便として就航したが、現在はイベントクルーズ船などとして活用。また防衛省との間で、自衛隊の訓練や大規模災害などの有事の際に隊員や物資の輸送に利用する契約を結んでおり、災害時派遣船としても活躍する。
内覧会は海運会社リベラ(本社・広島県呉市)、東洋マリーンサービス(本社・東京都千代田区)、釜石港湾振興協議会が企画。4回に分けて行われ、計約170人が見学した。
客室は仕切りが少なく、折り畳んであるマット(1枚当たり縦60センチ、横45センチ、3枚連結構造)を使って横になって休むことができる。大型トラック50台、乗用車110台を収容できる車両甲板なども見て回った。市商業観光課の佐々木利光課長補佐は「観光面での活用に可能性を秘めている。休憩、イベント、輸送での利用など検討してみたい」と前向きな姿勢を見せた。
船内を見て回り、ラグビーW杯開催時のイベントでの活用に期待感を高める関係者
同協議会では港を活用したW杯の機運醸成や後方支援について検討を進めており、同船の試験寄港を歓迎。今回は入港や接岸が可能かを確認するためだったが、双胴型、子どもや動物のイラストが描かれた船体など存在感のある船が停泊している港の風景に、関係者は「大会の盛り上げに一役買う」と期待を高める。
同船の活用については今後、関係者を交えて具体的に検討し、年度内に方向性を決めたい考え。市産業振興部の引屋敷英人次長(市国際港湾振興課長兼務)は「ファンゾーンの設置だけでなく、いろんな楽しみがある大会になれば。港や寄港する船を活用した大会準備、企画立案の一助にしてほしい」と話した。
(復興釜石新聞 2018年6月16日発行 第698号より)
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