ファーディーさん“里帰り” 6年半ぶりに釜石へ〜ラグビーW杯を復興の弾みに、「いつも応援している」とメッセージ


2018/03/22
復興釜石新聞アーカイブ #地域

6年半ぶりに釜石を訪れ、小佐野小児童らと交流したスコット・ファーディーさん(中央)

6年半ぶりに釜石を訪れ、小佐野小児童らと交流したスコット・ファーディーさん(中央)

 

 釜石シーウェイブス(SW)RFCに2011年秋まで所属し、東日本大震災時には被災者支援に奮闘、2015年ラグビーワールドカップ(W杯)で豪州代表として準優勝に貢献したスコット・ファーディーさん(33)が12日、6年半ぶりに釜石へ“里帰り”。小佐野小の児童らとタグラグビーを楽しみ、励ました。情報交流センター釜石PITで開かれた市民との交流会にも出席。「釜石はきっと良くなる。いつも応援している」とエールを送った。会場からは「釜石に戻ってきて」と復帰を願う声も上がった。 

 

 ファーディーさんは09年から釜石SWのFWとして活躍。震災直後には母国の大使館から避難を促されたが、釜石に半年間残り、支援物資を被災者まで運ぶなどボランティア活動に汗を流した。今回の釜石訪問は、復興が進む様子を見てもらい、感謝を伝えようと市が企画し実現した。

 

 小佐野小では釜石SWの選手らとともに、6年生約60人とタグラグビーを楽しんだ。トレードマークのあごひげから優しいまなざしをのぞかせ、子どもたちにやわらかくパスを送ると、「ファーディー!ファーディー!」と大きな歓声が上がった。

 

 SWジュニアで活動する6年の及川勝太君は「ファーディーさんはとても大きくて、びっくり。パスワークも速く、遊ばれてしまいました」と、憧れの選手とのプレーを喜んだ。

 

 震災をはさんで2年半余りにわたり釜石で選手生活を送ったファーディーさんは「釜石の人々は優しい、すてきなまち。来年のW杯はきっと素晴らしいものになる」と期待。交流した児童らには「幼いころからラグビーに触れるのは良いこと。男の子も女の子も楽しめるようになれば」とエールを送った。

 

 久しぶりに目にした釜石の街並み。「大変な状況の中でも他人を気遣い、協力する姿が忘れられない」と震災直後を振り返り、「ずいぶん復興したようだが、生活再建は長い道のり。いつも応援している」と思いを寄せた。

 

「釜石で忍耐力を学んだ」市民と交流、思いを語る

 

「おかえりなさい」と大勢の市民の歓待を受けたファーディーさん

「おかえりなさい」と大勢の市民の歓待を受けたファーディーさん

 

 ファーディーさんは12日午後、建設が進む「釜石鵜住居復興スタジアム」(仮称)などを見学。釜石市球技場で釜石高、釜石商工高ラグビー部を指導したあと、「おかえりファーディー!」と題した釜石PITでの市民交流会に臨んだ。

 

 震災から、ちょうど7年。ファーディーさんは市民ら100人を前に、母国から避難を促された当時の心境を「食べ物も物資も足りない状況の中で、残って周りの人たちのためにできることをしようと決断した。チームメートとの絆もあった」と振り返った。

 

 6年半ぶりに訪れた“第二の故郷”。「まだ仮設住宅で暮らしている人も多いが、これから街はどんどん良くなっていくと信じている。来年のW杯はそのきっかけになる」と期待を寄せた。

 

 後ろ髪を引かれる思いで釜石を離れたのは、子どものころから夢だったというW杯出場への熱い思いがあったから。15年のW杯では念願の母国代表に選ばれ、準優勝に貢献する働きを見せた。

 

 「釜石では他人を思いやり、協力すること、何よりも忍耐力を学んだ。釜石での経験が母国代表のテストマッチでも生かされた」と感謝の思いも口にした。

 

 会場の市民からは「釜石に戻ってプレーできないか」と“ラブコール”も上がったが、「それはチームにお願いしてほしい」とユーモアを交えて応える場面も。「来年のW杯では釜石まで家族を連れて観戦したい」と話した。

 

(復興釜石新聞 2018年3月17日発行 第673号より)

 

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