市制80周年 飛躍を誓う、復興からさらなる発展へ〜記念式典 姉妹・友好都市もエール、中高生 希望の合唱・演舞
節目の記念式典に未来の釜石へ思いをはせる市民ら
釜石市の市制施行80周年記念式典は9日、大町の市民ホール「TETTO」で行われた。行政や経済、文化、医療などさまざまな分野で市に貢献する関係者、近隣市町長、姉妹・友好都市の代表ら約750人が出席。市制スタートから80年を迎える“誕生日”を祝った。市勢の振興発展に尽力した個人や団体が表彰されたほか、アトラクションでは中高生がさわやかな合唱や若々しい虎舞を披露。先人たちが築き上げた歩みを振り返りつつ、東日本大震災からの復興と未来への飛躍を誓った。
市は1937(昭和12)年5月5日、釜石町が県内では盛岡に次いで市制を施行して誕生。55年4月1日には甲子村、鵜住居村、栗橋村、唐丹村と合併し、現在の釜石市となった。本年度は近代製鉄発祥160周年の節目でもある。
式典で、野田武則市長は「艦砲射撃や幾多の津波被害を乗り越え、激動の荒波の中で歴史を刻んできた。撓(たわ)まず屈せず、この言葉そのものが釜石の歴史。礎を築いてきた先人たちの知恵と情熱、市民の努力に感謝」と振り返った。7年がたとうとしている震災からの復興、橋野鉄鉱山の世界遺産登録、開催を来年に控えるラグビーワールドカップ(W杯)への取り組みなどに触れ、「80周年を契機に、誰もが安心して暮らし、子どもたちが希望を持てる新しいまちづくりに向かってまい進することを決意。鉄と魚とラグビーのまちとして歩みを続けていく」と力を込めた。
消防防災、地域振興、情報発信、医療福祉の充実などで市勢の発展に貢献した14人、18団体を表彰。記録映像「市制80年のあゆみ」の上映で隆盛や苦難など歴史を振り返った。
達増拓也知事の祝辞を県沿岸広域振興局の小向正悟局長が代読。震災からの復興に向け県は昨年度、「さらなる展開への連結期間」(2年)と位置付けた第3期復興計画をスタートさせており、「W杯は震災被災地から支援への感謝と復興の姿を世界に発信する絶好の機会。行政と住民が一体となり、まちづくりを進めてほしい」と期待を寄せた。
姉妹都市の愛知県東海市からは鈴木淳雄市長がお祝いに駆け付けた。1960年代に鉄のつながりで始まった交流がスポーツ、産業、文化など各分野に広がり絆を深めてきたことを紹介し、「より良い関係づくりが東海市の発展につながった」と感謝。W杯が開催される19年に東海市では市制施行50周年を迎える。さらなる飛躍を図るための準備や関連事業を進めつつ、W杯への協力も約束。「両市一丸となって盛り上げていきたい」と望んだ。
友好親善都市、富山県朝日町の笹原靖直町長はW杯に向け、町特産のヒスイと釜石の企業が製造するコバルト合金「コバリオン」を活用したコラボ商品の開発、販売を予定していることを紹介。「ものづくりを通し互いのさらなる交流と経済活性化を図りたい」と思いを伝えた。
心を合わせ、高らかに歌声を響かせた釜石東中と加木屋中の生徒
アトラクションでは釜石東中2年生47人と、東海市の加木屋中生徒有志18人が合同合唱を披露。震災後、釜石東中生が考えたメッセージをもとに作られた「いつかこの海をこえて」など2曲を高らかに響かせた。釜石商工高虎舞委員会のメンバーは節目を祝って威勢よく演舞。出席者全員で市民歌斉唱、万歳三唱して幕を閉じた。
(復興釜石新聞 2018年2月14日発行 第664号より)
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