釜石の魅力発信CMを制作、鵜住居小プロジェクト〜ラグビーW杯盛り上げ映像化


2018/01/31
復興釜石新聞アーカイブ #文化・教育

卒業制作も兼ねたCM撮影で使う大漁旗を完成させ、笑顔を見せる鵜住居小の6年生

卒業制作も兼ねたCM撮影で使う大漁旗を完成させ、笑顔を見せる鵜住居小の6年生

 

 釜石市は2019年のラグビーワールドカップ(W杯)釜石開催に向け、鵜住居小(中軽米利夫校長、142人)で「釜石の魅力発信CM制作プロジェクト」を進めている。6年生30人の卒業制作も兼ねた活動で、W杯や地域の魅力を映像化するのに加え、東日本大震災からの復興の取り組みも表現した3分程度の作品を制作する予定。3月初旬の完成、お披露目を目指す。25日にはCMの中で使う大漁旗づくりを実施。大会成功や震災支援への感謝、地域再生への願いなどさまざまな思いを込めながら、白布を色鮮やかに染めた。

 

 CM制作は大会の機運醸成、復興のPR、市のイメージアップによる釜石ファンの拡大、試合観戦や来訪の促進を図るとともに、児童の郷土に対する愛着と誇りの醸成、次代を担うものづくり人材育成の一助にと企画。建設中の釜石鵜住居復興スタジアム(仮称)を眼下に望む児童の思い、震災を含め幾多の災害を乗り越えてきた地域や復興に尽力する人の姿を盛り込んで国内外に発信する。

 

 6年生は地域を考える総合学習の時間を利用し、CMづくりを進める。昨年11月から再建した企業やスタジアム建設現場を訪ね、復興にかかわる大人たちの思いを聞き取ったり、CMの内容やキャッチコピーを考えるなど準備。この活動にはプロジェクト運営事務局で、教育関連事業を展開するヒーローズエデュテイメント(東京都、長谷川英利社長)が協力した。

 

 4回目の活動となったこの日、プロジェクトが本格的に始動。「想いを描く、染める」をテーマに、児童が大漁旗づくりに取り組んだ。講師は、東京都国立市の画家で復興支援で絵はがきなどを製作している長友心平さん(40)と、釜石市内の郷土芸能団体の団旗や法被なども作る伊藤染工場(花巻市、伊藤純子代表取締役)の職人らが務めた。

 

 震災時、幼稚園や保育園児だった6年生。「震災について理解を深める」「支援への感謝を伝えたい」「釜石のためにできることは」「にぎやかな町になってほしい」。そんな思いを詰め込んだ大漁旗の下絵は、長友さんが担当した。

 

 縦170センチ、横240センチの旗に描かれたのは、太陽がさんさんと輝く海に船出する子どもたちの姿。「未来に向かっていろんな夢を描いて突き進んでほしい」と願いを込めた。

 

 長友さんは「みんなの気持ちがいろいろあるように、色もさまざまある。色に思いを込めて描くことが大事」とアドバイス。児童は、はけの使い方や色の塗り方を教わりながら作業を進めた。「はけの使い分けや色分けが大変だけど楽しい」と黒澤優愛さん(11)。「W杯にはいっぱいの人が集まってほしい。家が建って人がいっぱい集まる町になってほしい」と願いながら手を動かした。

 

 この旗は2月中旬に予定されている撮影で使用。このほか、学校内での撮影やBGMとなる歌の収録なども進める。

 

(復興釜石新聞 2018年1月27日発行 第659号より)

 

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