旧大渡小〜釜石小「ことばの教室」開設50周年〜先駆の歩み振り返る、関係者130人が記念式典
「ことばの教室」開設50周年を歌声で祝う釜石小の児童ら
釜石小(高橋勝校長、児童127人)に設置されている「ことばの教室」の開設50周年を記念する式典が22日、釜石市大渡町の同校体育館で行われた。「ことば」や「きこえ」の発達に課題がある子どもの相談や指導をする教室が県内で初めて、旧大渡小に開設されたのは1967年。以来半世紀にわたり、「ことば教育」の先駆けとして歩んできた足取りを振り返り、教室のさらなる発展、充実を誓った。
関係者約130人が参加した式典では、記念事業実行委員長の高橋校長が50年の歩みを紹介。教室開設に奔走した関係者の尽力に触れ、「声に出したことばが心をつなぐ。親の会の力がなければ今日の発展はなかった」と感謝した。
野田武則市長は「子どもを思う親の願い、画期的な精神は今も脈々と流れている。その原点に立ち返り、教室のさらなる充実を期待する」と祝辞を述べた。
教室の開設、運営に尽力した5人1団体に感謝状を贈呈。同校の児童が虎舞や校歌を披露して50周年に花を添えた。
開設当初から現在までの歩みを映像や写真で振り返ったあと、大渡小ことばの教室初代担任の菊池義勝さん(81)、県ことばを育む親の会の佐々木信孝前会長(67)、同会初代会長・故落合新作さんの妻ハルさん(84)が対談。
現在は千葉県木更津市で暮らすハルさんは「息子のためにと、夫とともに必死の思いで動いた50年前を思い出す。支援してくださったみなさんの思いが今日につながっている」と振り返り、「教室がここまで長く続いて本当にうれしい」と目を潤ませた。
児童の歌声に拍手を送る落合ハルさん(前列左)
盛岡市から駆け付けた菊池さんは「自分でペンキを塗った教室からスタートしたが、現在の教室はホテルみたいに立派」と感慨深げ。「今後はコミュニケーション能力も養う教室として発展してほしい」と期待を託した。
大渡小ことばの教室は8人の児童からスタート。2003年に釜石小と統合した後も引き継がれ、50年間で900人余りの幼児・児童が学んできた。現在は県内全市町村にことばの教室が開設されている。
(復興釜石新聞 2017年11月25日発行 第642号より)
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