地方創生 釜石で実践、慶応大、市と連携協定〜オープンシティ戦略の一環、観光地域づくりなどを探る


2017/08/30
復興釜石新聞アーカイブ #地域

 釜石市の野田市長と連携協定を結んだ慶大総合政策学部の河添学部長(右から2人目)。左端は今春、釜石高から慶大に進んだ寺崎幸季さん

釜石市の野田市長と連携協定を結んだ慶大総合政策学部の河添学部長(右から2人目)。左端は今春、釜石高から慶大に進んだ寺崎幸季さん

 

 釜石市と慶応義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)の総合政策学部などは21日、活力ある地域社会の形成や人材育成を目的として「地方創生に関する連携協力協定」を結んだ。取り組みの第1弾として市は、地方創生の実践研究を市に住んで進める「地域おこし研究員」として同大大学院生を任用。SFCからはテレビ会議システムなどで講義や教授陣の指導を受けつつ、現場に根ざした地方創生の実践と研究開発に挑戦する。

 

 両者は2011年度から釜石の復興やラグビーを生かしたまちづくりなどに関わる活動や調査研究を協働で進めてきた。市は震災後、外部との交流で新たな活力を育む「オープンシティ戦略」を掲げ、復興後の持続的成長を導く試みを進めており、今回の協定もその一環。共同での活動を充実させることで戦略の加速を目指す。

 

 SFCから環境情報学部、大学院政策・メディア研究科、SFC研究所も含む2学部・1研究科・1研究所が協定に参加。研究員は釜石で地方創生に関する研究などに取り組む。市は研究分野として、▽2019年ラグビーワールドカップ(W杯)開催を見据えた持続可能な観光地域づくり▽オープンなまちづくりの推進▽スポーツを活用したまちづくり▽都市部の学生らをターゲットにした教育旅行プログラム開発―などを想定する。

 

 大学院生の受け入れは、総務省の「地域おこし協力隊」制度の活用を見込む。市は早ければ来年度から、研究員を募り、選考を経て2~3人程度を採用。研究員に人的ネットワークなどの情報や活動拠点を提供する。現場で復興事業やまちづくりの手助けを行っている「釜援隊」も連携し、実情に即した活動を支える。

 

 締結式は市役所で行われ、野田武則市長と同大総合政策学部の河添健学部長が協定書を取り交わした。野田市長は「大学の有する人的、知的、物的資源が入ることで、魅力ある地域づくりが進むことを期待」と述べ、河添学部長は「学生が現場で社会との接点を持つという感覚が大事。元気な学生を見て、地元の高校生が大学に興味を持ってもらうきっかけにもなれば。人の交流が広がってほしい」と話した。

 

(復興釜石新聞 2017年8月26日発行 第616号より)

 

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