口笛やさしく、心地よく〜柴田晶子さんコンサート、鵜住居公民館 あふれる詩情、心を癒やす


2017/02/16
復興釜石新聞アーカイブ #文化・教育

心に響く口笛の音色で観客を楽しませた柴田晶子さん(右) 

心に響く口笛の音色で観客を楽しませた柴田晶子さん(右) 

 

 国内外で活躍する口笛奏者の柴田晶子さんによる「くちぶえコンサート」が5日、釜石市鵜住居町の鵜住居公民館で開かれた。国際口笛コンクールで優勝経験を持ち、演奏会やコマーシャル、ドラマなどのBGMで、その手腕を発揮する柴田さん。釜石での演奏は初めてで、詩情あふれる、やさしく心地よい音色が地域住民ら約20人の心を癒やした。

 

 秋田市出身で現在は、福島県郡山市在住の柴田さんは、震災後の復興イベントを機に演奏活動を共にするピアニストの藤野恵美さんと同公民館を訪れた。口笛演奏に興味津々の観客を前に「口笛吹きと犬」、国際コンクールで優勝を果たした「カルメン・ファンタジー」などを演奏。オルゴールや映像、マリオネットを用いた独自のパフォーマンスでは、「星に願いを」やオリジナル曲で観客をメルヘンの世界にいざなった。「川の流れのように」など有名曲も聞かせ、口笛の豊かな表現力が新鮮な感動を広げた。

 

 同公民館に隣接する復興住宅から足を運んだ女性(73)は「低音から高音まで幅広い音域に驚いた。すごくすてきな音色ですね」と感激。家族4人でコンサートを楽しんだ戸張聖子さん(38)は「高音域も耳にやさしく心地よい響き。口笛を聞くと楽しい気持ちになる」と、幼い子どもたちと顔を見合わせ、ほほ笑んだ。

 

観客は柴田さんの演奏技術に感心しながら、口笛音楽の世界を堪能した

観客は柴田さんの演奏技術に感心しながら、口笛音楽の世界を堪能した

 

 柴田さんは、口笛の音に誘われて頭上に野鳥が姿を見せたエピソードや、息を吸っても吐いても音を出せることなどを紹介。簡単な吹き方を教え、観客も挑戦した。

 

 民間企業勤務時代に口笛の世界大会があるのを知り、10年ほど前から本格的に始めたという柴田さん。2010、12年の2度、国際コンクールの女性成人部門で総合優勝を果たし、14年には大会審査員を務めた。国内のほかヨーロッパやアジアでも演奏し、各地で高い評価を受ける。口笛教室で指導も行う。

 

 「体から直接出る音で表現でき、身近で、すぐ試せるのが口笛の魅力。これを知ってから人生が楽しくなった。いろいろな人に知ってもらえれば」と柴田さん。本県ではこれまで、岩泉町の龍泉洞や一関市の猊鼻渓でコンサートを開いてきた。今回は震災後、音楽などで釜石の子どもたちを支援し続ける埼玉県さいたま市のNPO法人子ども文化ステーション(武藤定明代表理事)が縁をつなぎ、同公民館のほか鵜住居幼稚園など幼・保3施設で演奏した。

 

(復興釜石新聞 2017年2月11日発行 第562号より)

 

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