甲子柿の里、実りの秋〜甘味引き出す「室」を公開、見学ツアーも好評
初めて見る柿室に興味津々のツアー参加者
出荷の最盛期を迎えた釜石市の特産品「甲子柿」などの地場産品や甲子地区の魅力に広く触れてもらう「甲子柿の里・秋祭り」(同実行委員会主催)は22日から24日までの3日間、甲子町の道の駅釜石仙人峠と創作農家「こすもす」を中心に開かれた。2回目の開催となった今回は甲子柿などの販売を2会場で展開。生産過程の見学や甲子地区の名所を巡るツアーの内容も充実させ、”まるごと甲子”をアピールした。
22日は住民がガイドを務め、地元の見どころを案内する4つの地域巡りツアーを開催。道の駅を発着点に、柿をいぶす柿室(かきむろ)3カ所の見学、隠れパワースポット・不動滝などを散策する大畑地区のツアーには市内外から15人ほどが参加した。
地元農家、佐々木裕一さん(65)の柿室を見学した参加者は、室内の温度やいぶす日数、まきの材料など熱心に質問した。甲子柿の試食もあり、「おいしい」と秋味を堪能。松倉地区から参加した三浦佳奈子さん(36)は「去年、甲子柿のおいしさに気付いたばかり。病みつき、くせになる味がどんな風に作られているのか見たくて参加。室を3つも見学できるなんて」と感激していた。
佐々木さんは、柿づくりにはさまざまな苦労があると漏らすが、「日本で同じものを作っていないのが甲子柿。絶やしたくない。いいものを作るのは大変だが、おいしい―という言葉を聞くとうれしい。明日も、来年も頑張ろうという気持ちになる」とうれしそうだった。
甲子柿は道の駅や「こすもす」で販売。今年は台風による落果や実裂けなどで例年に比べ収量が減り、店頭に並ぶとすぐに売り切れとなった。「こすもす」では甲子柿を使ったスイーツなども提供。道の駅では23日、ホタテの浜焼きや焼きそばなど出店が並んだ。
秋祭り会場には浜焼きなど出店も並んだ
実行委の藤井サエ子さん(甲子地区活性化協議会長)は「祭りを盛大にやることで、来年の豊作につながれば」と期待。甲子柿の生産から商品開発、販路拡大を進めながら、さまざまな地域資源を再発見し、活用して交流を図り、「元気な甲子」を目指す取り組みも続ける。
(復興釜石新聞 2016年10月26日発行 第532号より)
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