地域のつながり生む“盆踊り” 震災被災の鵜住居で継続5回目 古里再生に地元商店会が結束


2026/08/31
釜石新聞NewS #地域

ノリノリで盆踊りを楽しむ子どもら=22日、うのすまい・トモス

ノリノリで盆踊りを楽しむ子どもら=22日、うのすまい・トモス

 
 釜石市鵜住居町の駅前公共施設「うのすまい・トモス」広場で22日、納涼盆踊り大会が開かれた。鵜住居商店会(中里充良会長、30店)が主催し5回目の開催。地元住民のほか、市内外から訪れた家族連れやスポ少の団員らが踊りの輪を作り、夏の夜のひとときを楽しんだ。東日本大震災から15年。甚大な被害から立ち上がり、一歩一歩前に進む同地域に、新たなシンボルイベントが定着しつつある。
 
 同盆踊りは2019年、ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会の試合が釜石鵜住居復興スタジアムで行われるのに合わせ、初めて企画された。20年から3年間は新型コロナウイルス感染症の流行で開催できず、23年から再開。市、かまいしDMC、鵜住居地域会議の後援で続けられ、今回で5回目を迎えた。
 
鵜住居商店会主催の「納涼盆踊り大会」。盆明けの8月下旬に行われる

鵜住居商店会主催の「納涼盆踊り大会」。盆明けの8月下旬に行われる

 
 広場には紅白のちょうちんで彩られたやぐらが設置され、景気付けの太鼓とともに6曲の踊りを楽しんだ。「炭坑節」や「東京音頭」、「北海盆唄」といった盆踊りの定番曲に加え、鵜住居町出身の三味線奏者、駒幸夫さんが作詞作曲を手がけた「三陸みなと音頭」、フォークダンスでもおなじみの「マイム・マイム」、リバイバルヒットで脚光を浴びた「ダンシング・ヒーロー」と、さまざまな楽曲で盛り上がった。
 
幅広い年代が夏の風物詩、盆踊りを楽しむ

幅広い年代が夏の風物詩、盆踊りを楽しむ

 
「マイム・マイム」はいつの時代も盛り上がる。子どもたちは笑顔満開!

「マイム・マイム」はいつの時代も盛り上がる。子どもたちは笑顔満開!

 
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女性たちはすてきな浴衣姿で…。会では毎年、地元美容室によるレンタル浴衣の着付けサービスもある

 
 踊りの輪でひときわ目を引いたのは“赤”色を身に付けたスポ少の子どもたち。軟式野球の「釜石野球団Jr(ジュニア)」、バレーボールの「栗林ラビー」の団員計約50人が団体参加した。釜石野球団Jrは今年8月、栗林ラビーは昨年12月に全国大会に出場した際、鵜住居商店会から支援金を受けていて、この日はそのお礼を伝えようと盆踊り会場に足を運んだ。
 
赤Tシャツに赤ユニフォームが盆踊り会場を彩る

赤Tシャツに赤ユニフォームが盆踊り会場を彩る

 
栗林小体育館や市民体育館(鵜住居町)で練習に励む「栗林ラビー」の団員ら。この日は盆踊りで地域交流

栗林小体育館や市民体育館(鵜住居町)で練習に励む「栗林ラビー」の団員ら。この日は盆踊りで地域交流
 
やぐらの上で踊る子どもコーナーも毎年人気。親たちはスマホカメラで熱心に撮影

やぐらの上で踊る子どもコーナーも毎年人気。親たちはスマホカメラで熱心に撮影

 
 釜石野球団Jrの阿部結耀主将(鵜住居小6年)はチームメイトと参加する初の盆踊りに「最高ですね。みんなでふざけ合ったり自由に楽しめるので、解放感がある」と、競技とは違う空間を満喫。応援してくれる商店会の人たちに感謝の気持ちを表し、「9月にある三陸学童野球大会でも絶対、優勝します」と強い決意を示した。
 
 そろいの黄色い浴衣姿で参加したのは北日本銀行の市内3支店の行員8人。踊りのほか、会の運営にも協力した。釜石勤務2年目、小佐野支店の畠山誠也さん(23)は「盆踊りは夏らしさを感じてもらえる場。子どもたちが楽しめるよう微力ながらお手伝いできれば」と会の盛り上げに尽力。「周りの人たちが気さくに話しかけてくれるし、商店会の人たちも優しいので、すっと輪の中に入っていける」と自身も楽しい時間を共有。地域住民との貴重な触れ合いの機会を喜んだ。
 
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北日本銀行の行員らは毎年同会に協力。踊りだけでなく会の運営にも力を発揮

 
 震災前、鵜住居町には同銀行の支店店舗があったが、津波で全壊。現在は、大渡町の釜石支店内に鵜住居支店の窓口が置かれている。釜石支店に勤務する古川実佳さん(27)は震災時、鵜住居小の5年生。隣接する釜石東中の生徒と高台に避難し、津波から命を守った。当時、鵜住居駅近くにあった自宅は津波で流失した。あれから15年―。古里は復興まちづくりで大きく姿を変えた。「人口減少は続くが、こうして盆踊りを開催できるまでになりうれしく思う」。社会人になった今、生まれ育ったまちへの貢献を望み、「明るさを届けるなど、できる限りのことをやっていきたい」と意気込む。
 
 同盆踊りには鵜住居以外からも多くの人たちが足を運ぶ。両石町の母親の実家に帰省した群馬県前橋市の中学生山岸佳乃さん(12)は家族やいとこらと初めて来場。「地元では地区単位の盆踊りはあまりない。ここは地域密着で安心できる感じ」と会場の雰囲気を楽しみ、「夏休みのいい思い出になりそう」ときょうだいらと笑顔を広げた。
 
キッチンカーなど各種出店が囲む飲食スペースは開始から大にぎわい

キッチンカーなど各種出店が囲む飲食スペースは開始から大にぎわい

 
甚平や浴衣姿の子どもたちは、とびきりの“うのスマイル”でハイ、ポーズ!

甚平や浴衣姿の子どもたちは、とびきりの“うのスマイル”でハイ、ポーズ!

 
商店会はポップコーンや綿あめを無料サービス

商店会はポップコーンや綿あめを無料サービス

 
 会場には地元商店のほか、市内外のキッチンカーなど計13店が出店。商店会は綿あめとポップコーンを無料サービスし、子どもたちを喜ばせた。辺りが暗くなる頃にはさらに人出が増え、会場内は大にぎわい。恒例の締めの餅まきではパンや菓子を含む約2500個が宙を舞い、熱気冷めやらぬ中、会は終了した。
 
暗くなる頃には多くの人たちが踊りの輪に加わり、昔ながらの盆踊り風景が広がった

暗くなる頃には多くの人たちが踊りの輪に加わり、昔ながらの盆踊り風景が広がった

 
餅まきを前に気合十分の子どもたち。「いっぱいとるぞー!」

餅まきを前に気合十分の子どもたち。「いっぱいとるぞー!」

 
クライマックスの餅まきはこの熱気! パンや菓子が入った袋も宙を舞う

クライマックスの餅まきはこの熱気! パンや菓子が入った袋も宙を舞う

 
 実行委員長の岩﨑健太さん(42)=岩崎商店専務取締役=は、地元企業やボランティアなど多くの協力者に深く感謝。「年代に関わらず、地域のつながりを生んでいるイベント。年齢を重ねてもこういう場があるから集まれる。継続は簡単ではないが、世代交代しながら長く続けていけるよう頑張りたい」と未来を見据える。

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