釜石でゼミ合宿 東海大観光学部の学生 潮風トレイルで自然体感 地域活性化へ取り組み探る

釜石市の箱崎半島で自然を体感する東海大学の学生たち=6月28日
釜石市で6月27日〜29日、東海大学観光学部の学生8人がゼミ合宿を行い、同市内にある「みちのく潮風トレイル」のコースの一つになっている箱崎半島を歩き、地域住民らと交流する中で、資源を生かした地域活性化について考えた。
この合宿は、同学部講師の遠藤晃弘さん(45)=観光学=による遠藤ゼミが昨年から実施。今年も同市箱崎白浜地区の民泊施設「御箱崎の宿」を拠点に、3年のゼミ生が観光メニューのトレイル体験や住民との交流、聞き取り調査に取り組んだ。
27日は、交流会で住民から地域の歴史や東日本大震災での被災、復興の歩みなどを聞いた。同市箱崎町内にある佐々栄商店も訪問。ハイカーと住民の交流拠点となりうる場所として、活用のアイデアを検討した。

「御箱崎の千畳敷」のトレッキングに挑んだゼミ生ら
28日は、箱崎半島部のトレッキングを体験。潮風トレイルの本コースから外れているが、半島先端部に位置する岩石海岸「御箱崎の千畳敷」に足を延ばした。スタート地点の大沢遺跡駐車場から始まる散策路はアップダウンが続く険しいコース。半島突端の御箱崎灯台までの道のりには、地元住民が漁業繁栄や家内安全を祈願する御箱崎神社があり、学生らは「実は参道」ということを受け止めながら歩を進めた。

樹木が生い茂る森の中の散策路を歩く一行

複数の赤鳥居をくぐり御箱崎神社を参拝。さらに進むと御箱崎灯台
半島先端部南側には断崖を下った先に、三陸ジオパークのジオサイトの一つにもなっている千畳敷が広がる。散策路からは崖伝いに急峻、極狭の遊歩道があるが、下りるには十分な注意が必要。学生らは体力、安全を考慮しつつ慎重に下って岩場に立った。

散策路から太平洋の絶景を眺め、千畳敷へ向かう学生たち

展望スポットでの眺めも圧巻。慎重に崖下へ。さらに岩場を進んだ

壮大な景色を体感する学生。達成感、充実感に笑顔を広げた
見所は満載で、学生はトレイルの魅力を認識した一方で、課題も把握した。駐車場からの往復は往約8キロと、なかなかの距離。千畳敷の荒々しい岩場は不安定な場所もある。また散策路は樹木が生い茂る森となっており、動物との遭遇など考えなければいけない要素が増えていることを確認。その上で、地域住民と国内外からのハイカーをつなぐアイデアをそれぞれが思考していた。
トレッキングの後は、箱崎町の桑ノ浜地区に移動。町内会長の小西勝見さん(76)から震災前後の地区の変化、なりわいの漁業など話を聞いた。トレイルの話題では「リアス海岸の景観のすばらしさを生かした観光を歓迎する」と小西さん。ハイカーらしき人を見かける機会が増えていることも話した。

潮風トレイルについて感じていることを学生に伝えた小西勝見さん(左の写真)
住民は半島部を歩くことの大変さを分かっているが、「ハイカーは十分に理解していないのでは」と不安を口にした小西さん。外国人、一人歩きの人が多いのも心配し、「地域の事情、情報交換ができる立ち寄り場所を設けたらいいのでは」との考えを打ち明けた。そもそもハイカーが地元住民との交流を望んでいるのか、と学生に質問を投げかける場面もあった。
観光を生かしたまちづくりや地域創生に関心が高いゼミ生の宮城侑里さん(20)は「ここでしかできないような体験を大切にしたい」と熱心に活動した。震災復興に取り組んだ住民の地域力、団結力に感心し、漁師と同じ目線となって地域を見つめることも実践。静岡市出身で、Uターンを必須として大学で深めている「地域に密着した観光」への学びをさらに掘り進めた。
学生たちは魚さばき体験などのフィールドワークも展開。29日の活動報告会で気づいたことなどを住民らと共有した。
同ゼミでは、10月に第2弾の合宿を予定。今回の活動を他のゼミ生にも伝え、潮風トレイルを通した地域活性化策を探る。箱崎半島区間はトレイルの中では「難所」と言われるというが、その魅力を多くのハイカーに届け、受け入れる地域の機運醸成にもつながる形を検討。再来する秋にトレイルイベント開催を目指しており、企画立案にも取り組む。

学生を見守る東海大講師の遠藤晃弘さん(左)、かまいしDMCの平澤果鈴さん
合宿の受け入れは、地元の観光地域づくり法人かまいしDMCが担った。スタッフの平澤果鈴さん(25)が同ゼミの出身で、後輩たちに実践的な学びを提供できると提案。遠藤さんによると、同学部の学生の半数は観光業界を志望するが、希望に沿った道に進むのは難しいのが現状だという。その中で、同法人は草分け的な事業を展開し全国から注目されていることもあり、学生がその取り組みにじかに触れてもらう好機と捉えた。
遠藤さんは「ここはいろんなチャレンジができる学びのフィールド。この小さな集落で若者たちがどんな観光の力を見いだし広げられるか、楽しみ。歩くという基本的なアクティビティで日ごろ活性化していないものを存分に動かしてほしい。五感を開放して」と、学生たちを見守った。平澤さんは「学生目線で新しい釜石PRを」と期待する。

釜石新聞NewS
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