栗林小 最後の和山植樹 統合前の橋野小から引き継ぐ森林愛護少年団活動 40年の歴史刻む


2026/06/05
釜石新聞NewS #地域

橋野町和山にミズナラの苗を植える栗林小児童=5月29日

橋野町和山にミズナラの苗を植える栗林小児童=5月29日

 
 釜石市の栗林小(高橋昭英校長、児童26人)は5月29日、全校児童で結成する橋野森林愛護少年団の活動で、橋野町和山地区にミズナラの植樹を行った。2010年に同校と統合した橋野小の活動を引き継ぎ17年。本年度で閉校する栗林小にとって最後の植樹となった。同団活動は橋野小中時代から数えて丸40年。児童らは地域の先輩が続けてきた森を守る活動の大切さを改めて実感。将来にわたって豊かな森林が育まれるよう願いを込めながら丁寧に植え付けた。
 
 植樹活動に先立ち、学校の校庭では全校児童が参加して団総会が開かれた。藤原柚夏団長(児童会長、6年)は「植樹をすると森が守られるだけでなく、空気や水がきれいになる。森や山を大切にする気持ちを持とう」と呼びかけた。続いて団のスローガンを唱和。▽木や草と友だちになり、美しい山をつくろう▽樹木や小鳥をいたわり、楽しい森をつくろう▽街をきれいにし、みどり豊かなふるさとをつくろう―と声を合わせた。
 
全校児童が参加して開かれた橋野森林愛護少年団の総会。スカーフと帽子は団結成当初からのスタイル

全校児童が参加して開かれた橋野森林愛護少年団の総会。スカーフと帽子は団結成当初からのスタイル

 
藤原柚夏団長(右上)のあいさつの後、スローガンを唱和。「あすなろ」を歌って森を守る活動に意欲を高めた

藤原柚夏団長(右上)のあいさつの後、スローガンを唱和。「あすなろ」を歌って森を守る活動に意欲を高めた

 
スクールバスで植樹場所の和山へ。入り口付近には過去に先輩たちが植えた木が大きく育つ(左)

スクールバスで植樹場所の和山へ。入り口付近には過去に先輩たちが植えた木が大きく育つ(左)

 
 この後、3~6年生18人がスクールバスで和山の植樹場所に向かった。同校が毎年植樹を続けてきたエリアは、一般社団法人栗橋地域振興社(菊池録郎代表理事会長、旧栗橋牧野農業協同組合)が管理する市道沿いの土地。今回の植樹場所の周辺には、過去に児童が植樹したミズナラが人の背丈を優に超す大きさに育っている。
 
 今回植える約60センチ丈のミズナラ苗60本は、栗橋地区まちづくり会議(洞口政伸議長)が購入費用を支援。同校PTA父親部は事前に2回にわたって、植樹場所の下草刈りなど地ごしらえを行った。準備を整えた児童らは、釜石地方森林組合事業課課長補佐の加賀洋希さん(40)から苗木の植え方を教わり作業にとりかかった。2~3人が一組となり、穴を掘って苗木を配置。準備してきた新しい土を根元にかぶせ、倒れないよう周辺を踏み固めた。最後に根元に水をかけて完了。
 
PTA父親部と教職員が植樹のために事前に整備した場所。クマ対策を含め、周辺の下草刈りなどを行った

PTA父親部と教職員が植樹のために事前に整備した場所。クマ対策を含め、周辺の下草刈りなどを行った

 
スコップやくわで、根がしっかり入る深さまで穴を掘る

スコップやくわで、根がしっかり入る深さまで穴を掘る

 
穴に苗を配置し、根元に土をかけて踏み固める。落ち葉などが入らないように注意

穴に苗を配置し、根元に土をかけて踏み固める。落ち葉などが入らないように注意

 
 3年生は栗小生として最初で最後の植樹となった。葛西陽菜さんは「土が固くて大変だったけど、穴を掘るのは面白かった。植えた木が大きく育って森になるといいな」と期待。伊藤晴喜さんは「今年最後というのはちょっと嫌だけど…」と残念な気持ちをにじませつつ、「この場所だけでなく自然をいっぱいにしたい」と緑化活動への意欲を示した。
 
 一方、6年生にとっては小学校生活を締めくくる“最後”の植樹。佐々木貫汰さんは、森で育まれた土壌の栄養が川から海に流れ、海の環境も良くすることを知ってから「植樹をやりたいという気持ちが強くなった」と自身の変化を口にした。先輩たちが植えた木が順調に育っているのを目にし、「(活動の成果が見えて)うれしく思う。今日植えた木もすくすく元気に育ってほしい。将来、見に来たい」と望んだ。
 
掘り起こした土をほぐす。けっこうな固さに苦戦!

掘り起こした土をほぐす。けっこうな固さに苦戦!

 
みんなで協力して作業。最後は大人の人にも手伝ってもらいながら…

みんなで協力して作業。最後は大人の人にも手伝ってもらいながら…

 
風は強かったものの、最高の天気に恵まれた植樹日。青空と新緑がまぶしい和山

風は強かったものの、最高の天気に恵まれた植樹日。青空と新緑がまぶしい和山

 

 橋野森林愛護少年団は、1958(昭和33)年から学校林の造成、植林活動を続けてきた橋野小中学校で87(同62)年に発足した。団結成後は鵜住居川流域の水源管理に着目した和山へのミズナラ植樹を開始。児童生徒が取り組む緑化活動は内閣総理大臣賞を受賞するなど高い評価を受けてきた。2007(平成19)年に橋野中が釜石東中に統合、10(同22)年に橋野小が栗林小に統合され、団活動は栗林小に引き継がれた。
 
 「豊かな森は豊かな海をつくる―」。団総会では同校教諭から「山や海が豊かになると、私たちが食べるものも豊かになる。自然や命が巡り巡っていることを感じながら生活してほしい」との話もあった。植樹作業後、児童らは命をつなぐ森林や活動でお世話になった和山への感謝を込めて「ありがとうございました!」と元気な声を響かせた。
 
「大きく育て!」願いを込めて水をかける。数十年後の成長を楽しみに…

「大きく育て!」願いを込めて水をかける。数十年後の成長を楽しみに…

 
釜石地方森林組合も長年、同活動に協力。苗を持ち、植え方を説明する加賀洋希さん(右上)

釜石地方森林組合も長年、同活動に協力。苗を持ち、植え方を説明する加賀洋希さん(右上)

 
 植樹のアドバイスをしながら一緒に作業した森林組合の加賀さんは、地元の子どもたちが続けてきた活動に「森を大切にしようという気持ちが一番うれしい。樹木が大きくなるには50年ほどかかる。自分たちが植えた木がどう成長していくか、その過程を時々で見に来てもらえれば」と期待した。
 
 事前準備から植え付けまでサポートに尽力した同校PTA会長の藤原央さん(41)は、栗橋地域の子どもたちが代々受け継いできた活動を「今まで続けてこられたことは大きな財産だと思う」。この経験を糧に子どもたちには「植えた木に負けないぐらい立派に成長し、地元に貢献できるような大人になってほしい。閉校までの1年は一生の思い出となるような学校生活を送ってもらえれば」と願った。
 
栗小生として最後の植樹を終えた児童。ふるさとの山や森が豊かになることを願う

栗小生として最後の植樹を終えた児童。ふるさとの山や森が豊かになることを願う

釜石新聞NewS

釜石新聞NewS

復興釜石新聞を前身とするWeb版釜石新聞です。専属記者2名が地域の出来事や暮らしに関する様々なNEWSをお届けします。

取材に関する情報提供など: 担当直通電話 090-5233-1373/FAX 0193-27-8331/問い合わせフォーム


釜石のイベント情報

もっと見る

釜石のイチ押し商品

商品一覧へ

釜石の注目トピックス