震災後の街並みに彩り 釜石駅前、大町青葉通りに市民ら花植え 奉仕の心次世代にも


2024/05/27
釜石新聞NewS #地域

釜石駅前広場に花を植えた市民ら=18日

釜石駅前広場に花を植えた市民ら=18日

 
 釜石市鈴子町の釜石駅前広場と大町の青葉通り緑地に、今年も市民らの手によって花が植えられた。東日本大震災後の復興支援活動から市民中心の活動に移行し、今年で4年目。高校生ボランティアの参加も増え、まちの美化活動への意識の高まりを感じさせている。今年は両所にマリーゴールドやサルビアなど約500株が植えられ、秋にかけて市民や同市を訪れる観光客の目を楽しませる。
 
 釜石駅前広場では18日に作業。釜石市赤十字奉仕団(中川カヨ子団長)、釜石、釜石商工両高校、明治安田釜石営業所(山内郁尚所長)、市都市計画課から総勢約50人が参加した。国道283号沿いの花壇にマリーゴールド、サルビア、キンギョソウ、チェリーセージの4種約500株を手分けして植えた。
 
植栽作業には釜石商工高、釜石高の生徒らも尽力

植栽作業には釜石商工高、釜石高の生徒らも尽力

 
普段、交わる機会のない市民同士の交流の場にも

普段、交わる機会のない市民同士の交流の場にも

 
幅広い年代が協力し、釜石の玄関口を花で彩る

幅広い年代が協力し、釜石の玄関口を花で彩る

 
 釜石商工高1年の小林桜子さんは同校ボランティア委員会の仲間と参加。同所の花壇はバス通学の通り道で、「こうして植えられているのを初めて知った。大人の人たちが植え方を丁寧に教えてくれるのでやりやすい」と作業に励んだ。「花は好きなほう。気になったものは花言葉を調べたり、誕生花もチェックしたりする」と観賞だけではない楽しみも明かし、「また参加します」と声を弾ませた。
 
 友人に誘われ初めて参加した釜石高3年の井ケ田優妃さんは「作業は意外と大変。いろいろな人の手間がかかってできている花壇」と実感。まちを彩る花風景に「いろいろな色があって、見るだけで気持ちが明るくなる。駅前はさまざまな人が行き交う。多くの人の目に留まって、また来たいと思ってもらえる場所になれば」と期待を寄せる。長く維持するために「若い世代が引き継いでいかなければ」と活動の広がりも願った。
 
釜石高からは希望者10人余りが参加し、まちの美化に貢献

釜石高からは希望者10人余りが参加し、まちの美化に貢献

 
 明治安田釜石営業所は3年目の参加。ペットボトルキャップの回収で赤十字奉仕団に協力していた縁でこの活動を知り、継続参加している。今年は7人が作業に協力した。同社の佐々木砂智子さん(50)は「ほとんどが普段、土を触る機会がない人たち。皆さんと会話しながらの屋外作業は気持ちがいい」と笑顔。同社は2022年1月に同市と包括連携協定も締結。市民の健康づくりなど各種活動を市内で展開しており、「協力できる活動が一つでも増えていくのはうれしいこと」と佐々木さん。
 
 駅前広場などへ花を植える活動は震災後の2012年、拓殖大(東京都文京区)の学生による復興支援活動として始まった。新型コロナウイルス感染症の影響で学生の来訪が難しくなってからは、当初から同活動に協力していた同市赤十字奉仕団が中心となって市とともに継続。団は植栽だけでなく、水やりや草取りなど年間を通した管理にも尽力している。中川団長は「高校生の参加も増えていてうれしい限り。いろいろな人が集まれば大きな力となる。この活動が根付いて若い人たちが継承していってくれれば」と思いを込める。
 
花壇の維持管理には釜石市赤十字奉仕団が力を発揮。長期にわたり道行く人たちの目を楽しませる

花壇の維持管理には釜石市赤十字奉仕団が力を発揮。長期にわたり道行く人たちの目を楽しませる

 
植えられた色とりどりの花の苗。成長するとさらに美しい景観に

植えられた色とりどりの花の苗。成長するとさらに美しい景観に

 
 青葉通り緑地への植栽は22日に行われた。地元の大町町内会、近隣の復興住宅、通り沿いに事務所がある一般財団法人岩手県建築住宅センター沿岸支所、市都市計画課から20人余りが参加。同通り南側の花壇にマリーゴールド、ブルーサルビア、ケイトウの3種約500株を植えた。
 
青葉通り緑地(南側)の花壇への花植え作業=22日

青葉通り緑地(南側)の花壇への花植え作業=22日

 
近隣住民や近くの職場で働く人たちが作業に協力

近隣住民や近くの職場で働く人たちが作業に協力

 
 市営、県営住宅の管理業務を担う県建築住宅センター同支所は、地域貢献活動の一環で昨年から協力。今年は5人が参加した。佐々木勝次長は「やり始めると夢中になる。参加者は近くの復興住宅の方が多いので、雑談しながら楽しく作業させてもらっている」と喜ぶ。職場はすぐ近く。「日中は通りのベンチに座ってくつろぐ人の姿も見られる。花があるとさらに心が和むと思う」と作業に勤しんだ。
 
 大町復興住宅5号棟の伊藤清自治会長(77)は「ここは周辺の復興住宅住民が集まる場所。花があるのとないのとでは気分が違う。周りの住民はもちろん、通りがかりの人も喜んでくれる」と、花がある街並みを歓迎した。
 
周辺にはホテルや復興住宅が立ち並ぶ青葉通り。花を植えて街なかのオアシスに

周辺にはホテルや復興住宅が立ち並ぶ青葉通り。花を植えて街なかのオアシスに

 
花の苗は防草シートに開けた穴から植えた

花の苗は防草シートに開けた穴から植えた

 
 同所の花壇は市が管理する。今年から雑草対策として、試験的に土の上に「防草シート」を張った。5年ぐらいの耐久性があり、整備、維持管理に係る職員の負担軽減につなげる。

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