ラグビーも!防災も!釜石・鵜住居で熱く 全国強豪校交流会 花園めざし刺激し合う


2024/04/08
釜石新聞NewS #スポーツ

全国の高校ラグビー強豪校が集った交流会=2日、釜石鵜住居復興スタジアム

全国の高校ラグビー強豪校が集った交流会=2日、釜石鵜住居復興スタジアム

 
 高校ラグビーの強豪校が釜石市に集う東北復興高校ラグビー交流会(同実行委主催)は1~3日まで、鵜住居町の釜石鵜住居復興スタジアムと根浜シーサイド天然芝広場グラウンドで開かれた。常翔学園(大阪府)や東福岡(福岡県)、桐蔭学園(神奈川県)など、県内外の20校約600人が熱い戦いを繰り広げた。
 
 同スタジアムが会場となったラグビーワールドカップ(W杯)2019日本大会の顕彰と、東日本大震災の復興支援などが目的。昨年に続いて2回目の開催で、大会レガシーをつなぐべく今年もスタジアムに高校ラガーの歓声が響いた。
 
釜石鵜住居復興スタジアムに集った高校ラグビー部の選手たち

釜石鵜住居復興スタジアムに集った高校ラグビー部の選手たち

 
 20分1本の変則ルールで実施。選手の出場機会を増やし、より多くのチームと試合ができるよう対戦カードが組まれた。3日には、2日間の交流試合で選出されたベスト選手によるエキシビションマッチも。参加した各校は間もなく始まる新たなチームづくりに向け、自他の力を知って方向性を探る機会にした。
 
交流試合で熱いプレーを繰り広げる選手たち

交流試合で熱いプレーを繰り広げる選手たち

 
 交流会の目的の一つが防災学習。2日は同スタジアムに全参加者が集合し、震災伝承施設「いのちをつなぐ未来館」スタッフの川崎杏樹さん(27)から、震災の津波から難を逃れた行動、楽しく学ぶ防災、備えの大切さを聞いた。この日の夜明け前、釜石で震度4を観測する地震があったこともあり、耳を傾ける生徒たちの表情は真剣そのもの。「災害はいつ来るか分からない」と改めて実感し、学びを伝えることで「誰か助かる人がいる」と気づきを得た。未来館の見学などでさらに学びを深める学校もあった。
 
震災を経験した川崎杏樹さん(左上写真)の話に耳を傾けた参加者

震災を経験した川崎杏樹さん(左上写真)の話に耳を傾けた参加者

 
 盛岡工業高2年の土橋遼治さん(ポジション・SH)は釜石出身。幼少期から競技に親しみ、岩手県内の伝統校で充実した日々を過ごす。他県の選手と触れ合い、「それぞれが地元に誇りを持っていると感じた。互いに手の内は見せたくないが、この貴重な経験を進化させプレーにつなげたい」と刺激を受けた。同級生のチームメート本田聖成さん(同・SO)も新たなシーズンにやる気が上昇。県内の戦いを勝ち抜き、「花園へ」と拳を握った。
 
盛岡工業(紺白しま)と北海道遠軽の試合=2日、根浜シーサイド

盛岡工業(紺白しま)と北海道遠軽の試合=2日、根浜シーサイド

 
「花園へ、ベスト16が目標」と土橋遼治さん(右)と本田聖成さん

「花園へ、ベスト16が目標」と土橋遼治さん(右)と本田聖成さん

 
 札幌山の手高(北海道札幌市)ラグビー部約40人は3月30日に釜石入り。同スタジアムでバックスタンドの木製座席の塗装をし直すボランティア活動にも取り組んだ。「部活動ができるのは当たり前、ではない」と話す黒田弘則監督(52)は釜石出身。津波で被災した学校跡地に震災後につくられたスタジアムでラグビーW杯を実現させた小さなまちの挑戦、古里の人々が込めた思いに触れることが生徒たちの成長につながると考えている。試合に臨む選手らを厳しく見つめる一方で、交流会をきっかけに「チームがまとまってほしい」と期待。今シーズンの目標は「正月を花園で迎えること」で、静かに闘志を燃やしながらハッパをかけていた。
 
常翔学園との戦いぶりを見つめる札幌山の手(オレンジ)の黒田弘則監督(右下写真)

常翔学園との戦いぶりを見つめる札幌山の手(オレンジ)の黒田弘則監督(右下写真)

 
 実行委員長を務めた釜石市ラグビーフットボール協会の小笠原順一会長(64)は「強豪校の強さを感じるチャンスで、地元の高校も参加できればよかったが…」と残念がる。それでも、高校生が集うことで「ラグビーのまちの活性化につながる」と感じ、継続開催を視野に入れる。

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