養鶏オヤマ 釜石に生産拠点「リアスファーム」完成 4月中に本格稼働 地の利生かす


2024/03/26
釜石新聞NewS #産業・経済

完成した養鶏施設を見学する釜石市の関係者ら

完成した養鶏施設を見学する釜石市の関係者ら

 
 一関市の鶏肉生産加工販売業オヤマ(小山征男代表取締役)が釜石市栗林町に建設を進めていた養鶏農場「リアスファーム」が完成し、22日に現地でしゅん工式が行われた。8つの鶏舎で16万羽を飼育する釜石市内初の大型養鶏場。餌の仕入れ先が近く、配送コストの削減が見込まれるといった地の利を生かす。地元を中心に雇用した従業員6人体制で、4月中に本格稼働。1次産業の振興、雇用拡大が期待される。
 
釜石市栗林町に整備された養鶏農場「リアスファーム」の空撮写真

釜石市栗林町に整備された養鶏農場「リアスファーム」の空撮写真

 
 リアスファームは、オヤマグループのオヤマファーム(小山雅也代表取締役)が運営する。旧養豚場の跡地約4万2000平方メートルの敷地に鶏舎8棟(面積計9740平方メートル)を整備。鶏ふん倉庫、灰倉庫、管理棟、排水処理施設など付属施設(床面積計923平方メートル)も建てた。事業費は約13億円。
 
 鶏舎1棟当たり2万羽を飼育し、成長した鶏を一関市の工場に輸送して処理する。飼育期間は45~48日ほどで、年間最大88万羽を出荷する計画。鶏の出荷時期には臨時の雇用も想定する。
 
防疫対策の車両消毒ゲートを備え、施設内に入る車両を制限する

防疫対策の車両消毒ゲートを備え、施設内に入る車両を制限する

 
 オヤマは「いわいどり」「奥の都どり」などの鶏肉とその加工品を「安全、安心、健康」をキーワードに、生産・飼育、処理、加工、流通、販売の一貫システムで供給する。国産の鶏肉市場が拡大する中、鶏肉の処理能力が現状の2倍以上となる新工場を一関市内に建設中。生産量の増加、事業規模の拡大を視野に、餌の仕入れ先が立地する釜石に供給拠点となる農場新設を決めた。2021年夏に釜石市と立地協定を締結。22年秋に建設工事に着手し、整備を進めていた。
 
 しゅん工式には関係者ら約70人が参加し、神前に玉串をささげ、完成を祝った。式後に施設見学があり、鶏舎などを案内。鶏ふんを鶏舎の暖房燃料として活用したり、鶏ふんを燃やして肥料をつくるバイオマスボイラー室も備えるなど、環境に配慮した循環型の生産体制を取り入れていることを説明した。
 
鶏舎、鶏ふん倉庫などを見学。農場で使う機械の説明もあった

鶏舎、鶏ふん倉庫などを見学。農場で使う機械の説明もあった

 
施設内を確認できるモニターを備えた管理棟なども見て回った

施設内を確認できるモニターを備えた管理棟なども見て回った

 
 「地の利がある」とオヤマファームの小山代表取締役。餌の供給拠点が近いため人件費を含む配送コスト削減が見込まれ、三陸道や釜石道の整備で一関の工場への輸送時間が短縮されるのもメリットだとする。間もなく稼働する釜石初の大型養鶏場は、オヤマの直営農場として一関を飛び出しての事業展開となり、「大きな意味がある」と強調。国内向けの生産、販売量を増やす一方、将来的には国外市場への輸出増も視野に入れる。こうした展開には地元釜石の協力も欠かせないとし、「安心できる事業を行っていくので、見守ってほしい」と求めた。
 
しゅん工式であいさつするオヤマファームの小山雅也代表取締役

しゅん工式であいさつするオヤマファームの小山雅也代表取締役

 
 同日、港町の陸中海岸グランドホテルで祝賀会を開催。会場では、市とオヤマによる環境保全協定の調印式もあり、同社は農場の操業にあたり水質汚濁などの公害防止に取り組み、地域住民の健康保護、生活や自然環境の保全に貢献する。

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