楽器つくって遊んで、能登応援へ 水の音に元気込め 釜石から送る「水カンリンバ」


2024/03/20
釜石新聞NewS #地域

水の大切さを伝える創作楽器「水カンリンバ」を作る参加者

水の大切さを伝える創作楽器「水カンリンバ」を作る参加者

 
 水を育む森や自然を大切にしたいとの思いが込もった創作楽器「水カンリンバ」を作って音と遊ぶ催しが16日、釜石市鵜住居町・根浜海岸のレストハウスであった。親子連れら約20人が参加。“旅する音楽家”丸山祐一郎さん(通称マリオ)とこやまはるこさん(通称はるちゃん)=長野県飯山市=に作り方を教わった。完成した楽器のいくつかは、旅する2人が能登半島地震の被災地へ届ける計画。東日本大震災の被災地から元気、笑顔、思いをつなげる取り組みになる。
 
 水カンリンバは、マリオさんが30年前に考案した。空き缶4本を縦につないで真ん中の2本に水を入れた楽器。傾けると「コポコポ…」と、水が流れる音がする。外側の缶に切り込みを入れ鍵盤のようにし、指ではじいて演奏する。ブラジルの弦打楽器ビリンバウ奏者としても活動中で、そうした世界中の民族楽器とギターを抱えて旅しながらヒントをもらい、「一つの音に耳を澄ます」ことで生まれたという。
 
「水カンリンバ」の演奏を聴かせるマリオさん

「水カンリンバ」の演奏を聴かせるマリオさん

 
 楽器づくりは、水の採取から始めた。施設そばの山際にある水辺は震災発災時にも途切れることなく流れ、地域住民の命をつないだ場所。参加者はそこで空き缶に3分の1程度、水をくみ入れた。その釜石の水に、マリオさんたちが世界各地で集めてきた水をプラス。地元のわき水と持ち運んできた水を合わせ“共有”すると、「地球が浄化される」というハワイの言い伝えを習ったスタイルを取り入れる。
 
根浜海岸の山際にある水辺で空き缶に水をくみ入れる

根浜海岸の山際にある水辺で空き缶に水をくみ入れる

 
「合わせ水」はハワイ、フランス、南極…ワールドワイド

「合わせ水」はハワイ、フランス、南極…ワールドワイド

 
 缶をつないで好きな色の和紙で装飾すると完成となるが、鍵盤づくりなど参加した子どもたちには難しい作業もあり、2時間のものづくりタイムでは飾り付けはできなかった。それでも、演奏には挑戦。マリオさんとはるちゃんが奏でるギターやウクレレのリズムに合わせ、参加者は水平に持った水カリンバを揺らす。その時、「ポン、ポン」と鍵盤をはじきながら左右に揺すると、中の水が流れ、音が「ポワーン」と変化。不思議な音の世界に引き込まれていた。
 
はるちゃん(右)の説明をじっくり聞く参加者

はるちゃん(右)の説明をじっくり聞く参加者

 
子どもたちのものづくりをそばで見守るマリオさん

子どもたちのものづくりをそばで見守るマリオさん

 
 子どもたちは「チャプチャプしてた」「山登りした時に聞こえてきた水の音みたい」との感想。ものづくりに夢中になったのは大人たちで、北上市の鈴木雄二さん(69)は「楽しかった」とにこやかだった。震災ボランティアが縁で釜石に通い続けているといい、「被災地のみんなが頑張っているのを見て、逆に元気をもらっていた。今日もみんなと触れ合って、気分がほっこりした」。水カリンバは「心地よい音がした」と自信作に。能登に届けられると聞き、この日の気持ちが伝わることを期待した。
 
どんな音が聞こえる?水カンリンバを振って演奏してみた

どんな音が聞こえる?水カンリンバを振って演奏してみた

 
「釜石の元気、能登に届けー!」。エールを送る参加者たち

「釜石の元気、能登に届けー!」。エールを送る参加者たち

 
 マリオさんらは今月下旬に能登地域に入り、現地で活動する支援団体のメンバーとして音楽で癒やしの時間を届ける。手製の水カンリンバは全国から80本程度集まっていて、能登の子どもらに贈る考え。「水は人が生きるために必要で、それは傷ついた大地にとっても同じ。震災の時に命をつないだ釜石の水を能登に届け、人も大地も元気になってという思いをつなぎたい」と気持ちを込める。

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