能登応援、相次ぐ義援金 釜石の児童生徒、浜の女性たち動く 震災の「恩返し」込め


2024/03/14
釜石新聞NewS #防災・安全

能登半島地震の義援金を小野市長に託す「かまいし絆会議」の中学生ら

能登半島地震の義援金を小野市長に託す「かまいし絆会議」の中学生ら

 
 能登半島地震の被災地支援に役立ててもらおうと、日本赤十字社(日赤)岩手県支部釜石市地区に多くの義援金が寄せられている。市内14小中学校の児童生徒で組織する「かまいし絆会議」は各校で募金活動を展開し、釜石湾漁業協同組合平田女性部はバザー開催などでそれぞれ善意を集めた。両者の取り組みに込められているのは、東日本大震災で受けた支援への恩返し、一日も早い現地復興の願い。そして、「できることを続けたい」との思いも共通する。同地区長の小野共市長は「震災を経験した釜石の住民として皆さんの行動、心意気が誇らしい。能登のために大切に使ってもらう」と感謝する。
 
 絆会議は小学校9校、中学校5校でつくる。現在、計1700人を超える児童生徒が在籍する、市内で一番大きな団体。募金活動は冬休み明け後の1週間、各校で行った。釜石中は学区内にある商業施設イオンタウン釜石で市民にも協力を呼びかけ。そうした活動で集まったのは56万4690円に上る。
 
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生徒たちは募金活動に込めた思いを市職員らに伝えた

 
 中学校の代表5人(2年)が6日、市役所を訪問。釜石中生徒会長の山陰宗真さんが「ニュースの映像を見て、つらさを感じて心が痛んだ。釜石も全国の支援で復興に向かうことができた。集まった思いが能登の人たちが希望を持って暮らせる糧になれば」と経緯を報告した。活動で使った募金箱を持参し、大平中の生徒会副会長の佐々木栞奈さんが小野市長に詰まった思いを託した。
 
学校や地域が協力して活動に取り組んだことを報告する生徒

学校や地域が協力して活動に取り組んだことを報告する生徒

 
 釜石東中では、学区内の鵜住居小、栗林小と連携して発行する「絆通信」を使い、目的を共有して活動。東中生徒会長の小笠原早紀さんは「復興が少しでも早くなれば」と話した。唐丹中生徒会長の津田紗良さんは震災支援のお返しになるよう、能登の中学生に応援メッセージを送ったり、石川県の特産品を調べたことを紹介。甲子中生徒会長の米澤心優さんは「役に立ちたい気持ちで活動した。募金によって、復興という希望を届けられたら」と気にかけた。
 
バザーの収益などを義援金として届けた釜石湾漁協平田女性部メンバー

バザーの収益などを義援金として届けた釜石湾漁協平田女性部メンバー

 
 平田女性部は12日に届けた。市役所を訪ねたのは、高澤友子部長と中谷地万惠子副部長(ともに71)。2月11日に平田集会所で実施した「浜のかぁちゃんバザー」の益金と、会場内に設置した募金箱に寄せられた義援金を合わせた5万325円の目録を小野市長に手渡した。
 
 バザーは例年、海難遺児のための募金活動として行っていたが、今回は能登支援を目的に協力を呼びかけた。部員(29人)やその知人らが日用品、衣類、食器、エコクラフトのかごなど手作り品、ワカメなど海産物を安価で並べ、いつも以上に多い住民ら50人余りが品定めを楽しみながら「何か手助けに」との思いを寄せた。
 
「能登の皆さんに届けてほしい」と小野市長に思いを託した

「能登の皆さんに届けてほしい」と小野市長に思いを託した

 
女性部の活動を紹介する高澤部長(左)と中谷地副部長

女性部の活動を紹介する高澤部長(左)と中谷地副部長

 
 震災で自宅を失い、避難所生活をした経験がある部員もいて、中谷地副部長は「自分たちも同じ思いをしたから気持ちが分かる」と気づかう。高澤部長は女性や子どもたちのために役立ててほしいと希望。震災後、「浜の活力再生に女性の力を」と魚食普及活動にも取り組んできた。2人は部の活性化に向け、協力的に動ける体制づくりを思案中。「元気な姿を見せていければ」と顔を見合わせた。

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