堤体内に踏み入り探検 日向ダムで湖畔の集い 役割学んだ後は…魚とって木に触れ自然満喫
日向ダムの堤体内でダムの話と涼を楽しむ参加者
釜石市甲子町・小川川上流にある日向ダムで7月29日、「日向ダム湖畔の集い」が開かれた。「森と湖に親しむ旬間」(7月21~31日)にちなんだ恒例行事で、県や市、地元町内会などで組織する同旬間釜石地区分科会実行委員会が主催。家族連れらが足を運び、ダム施設の見学や木工教室、魚のつかみ取りといった催しを楽しんだ。
ダム施設見学では、普段は入れない堤体内を職員が案内。約250段の階段を下り内部の通路を進んでいくと、ひんやりとした空間が広がった。気温13度ほどに保たれているという内部には、ダムにかかる水圧や堤体のたわみを計測する機器などが設置されていて、職員が計測方法を紹介。取水ゲート操作室や放流ゲート室・発電所にも入り、機材などを見て回った。
「わー、高い」「大きいね」。ダム周辺を散策する来場者
ダム施設の見学は階段を上ったり下ったり。合わせると約500段
管理棟2階の操作室では、ダムの監視カメラ映像や観測データの集計、管理システムを見学。データは県沿岸広域振興局(新町)にも送信されていることなど監視体制についても理解を深めた。
家族3人で訪れた盛岡市の菊池悠理さん(岩手大付属中2年)は初めてのダム見学で、「いろんな災害に備えて設備を充実させていると知った」と学んだ様子。父信幸さん(61)は「面白かった。多くの人の力で造り上げられ、地域に役立っているとあらためて感じた。近頃は大雨などの災害も多く、こうした体験で子どもたちに分かってもらえるといい」とうなずいた。
ダムの頂上部や発電所などを歩き回って役割などに学んだ
管理棟操作室も見学。監視カメラを動かす体験もあった
ダム湖の船着き場では特設水槽でニジマスのつかみ取りが行われた。約220匹が順次放たれ、子どもたちが歓声を上げながら素早く泳ぐ魚を追いかけた。取った魚はその場で塩焼きにして味わうことも。山元綾音さん(釜石小6年)は「暴れて逃げられたりしたけど、つかまえられた。楽しかったし、おいしい」と笑顔を見せ、弟の一成君(同2年)は「コツは素早くつかむことだよ」と胸を張った。母莉菜さん(36)は「夏休み中にいろいろな経験をさせたい」と優しく見守った。
「追いつめて、ぎゅっ」。ニジマスのつかみ取りを楽しむ子どもたち
ダム湖を望みながら記念にパチリ。緑豊かな自然環境を満喫した
同旬間は豊かな自然空間で森林やダムへの理解を深めてもらうのが狙い。期間中、各地でさまざまなイベントが行われた。日向ダムは1997年に治水対策の目的で完成し、その年からイベントを実施。新型コロナウイルスの影響で2020年度から中止していたが、今年4年ぶりに開催。今回で22回目となった。
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