女子ラグビー柏木那月選手(釜石出身) 豪州リーグ参戦、経験報告 成長と活躍期す
野田武則市長(左から3人目)に海外リーグでの収穫を報告した柏木那月選手(同4人目)ら
釜石市出身の女子ラグビー選手・柏木那月さん(24)=東京山九フェニックス、釜石商工高―日体大=は今春、豪州の海外リーグに初参戦した。期限付きの在籍で、活動期間を終えて里帰り中の18日に市役所を訪問。「短期間だったが、日本では体感できないプレースタイルを肌で感じ、成長できる機会になった」などと、野田武則市長らに報告した。
「恥じないプレーでチームに貢献しようと思った」。海外リーグ初参戦への思いを語った
柏木選手は2月中旬から5月上旬までの約3カ月間、豪州でプレー。強豪が集うリーグ「スーパーW」のウェスタンフォースに所属しFW第1列として、全5試合にフル出場した。チームは6チーム中5位だったが、「スクラムの重さ、パワーが違う。体格で不足している分を細かなスキルで補えるよう考えたり、力で負けないよう低い姿勢でのタックルを意識したり、さまざまな学びを得て成長できた」と充実感をにじませた。
言葉は通じずとも「ラグビーは世界共通。海外の文化も教えてもらいながら、楽しく過ごせた」と表情は明るい。こうした貴重な経験が刺激となり、さらなるレベルアップを期す。目指すは、日本代表。「体づくりに専念し、15人制のシーズンが始まるころにはもっと強い自分になりたい」と意気込んだ。
「エンジョイラグビー」を続ける柏木選手(左)を見守る父・斉さん
同行した父斉さん(58)によると、今回の海外行きは豪州チームからのオファーを受けたもので、「ラグビーのまち釜石で育ち、ひたむきに取り組んできたから。そして、いろんな人たちの協力、支えがあってこそ」と手応えを感じていた。フェニックスは2月の全国女子選手権(15人制)で優勝。柏木選手は決勝にフッカーで先発し勝利に貢献し、そうした実力が評価されて機会を得た。自信に満ちたまな娘を優しく見つめ、「エンジョイラグビーを続けて」と願った。
兄2人がラグビーに励んでいたり、斉さんが釜石シーウェイブスRFCジュニアのコーチだったこともあり、小学3年生でラグビーを始めた柏木選手。ジュニア、高校時代を知る同ジュニア校の大畑勇校長(68)も同席し、「木登りして落ちたり、活発な子だった。試合では鼻血を出しながらも続けたりと負けん気も強く、ガッツがある。明るく、みんなに愛されるキャラも魅力」と強調。大槌町出身の平野恵里子選手(アザレア・セブン、釜石高―日体大)に続く「日本代表に」と期待を高めていて、「なっちゃんの活躍でジュニアも盛り上がる」と見守っていた。
野田市長は「まさにこれから。海外での実績を糧に活躍し、ラグビーのまち釜石を発信してほしい」とエールを送った。
古里からの応援も力に、さらなる活躍を誓う柏木選手
古里で顔なじみの人たちと触れ合いながら、リフレッシュした柏木選手。ラグビーを頑張る後輩たちに「最後まで諦めないことが大切。つらかったり、けがに悩まされたり、うまくいかない時期があってもトレーニングに励んでいれば、誰かが見ていてくれる」と助言を残す。東日本大震災後は深刻な被災状況を見て、ラグビーをやめることも考えたというが、当時のSW選手が支援物資の配布を手伝うなど地元のために力を尽くす姿を目にし、「自分も頑張って地域に笑顔を届けられたら」と発起。それが今につながっていて、「岩手で女子ラグビーを広げていけるよう、もっと活躍して恩返ししたい。釜石にも女子チームができれば」と思いを巡らせていた。
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