SL銀河 釜石の「ものづくりの灯」でラストシーズン運行へ 初日は3月25日
SL銀河点火用の種火を手にする釜石駅の髙橋駅長(右)とJR盛岡車両センターの本倉所長
3月からラストシーズンの運行を始めるSL銀河
2014年4月からJR釜石線(花巻―釜石間、90.2キロ)で運行されてきた蒸気機関車「SL銀河」が、客車の老朽化のため、本年6月で運行を終了する。3月から始まるラストシーズンに向け21日、機関車に火が入れられた。点火用の種火となったのは、近代製鉄発祥の地・釜石市の象徴「ものづくりの灯(ひ)」。釜石人の魂が込められた高炉の火が、見納めとなるSL運行を力強く支える。
火入れ前日の20日、同市鈴子町釜石駅前広場の「鉄のモニュメント」から採火が行われた。上部で燃え続ける「ものづくりの灯」を釜石ガスの社員がトーチに分灯。釜石駅の髙橋恒平駅長が受け取り、ランタンに火を移した。火はSLの整備を担当するJR東日本盛岡車両センターの本倉幹弘所長に託された。翌21日には盛岡のSL検修庫で火入れ式が行われ、石炭を燃焼させるボイラーに点火された。
「鉄のモニュメント」にともされる「ものづくりの灯」を釜石ガスの社員が採火
髙橋釜石駅長(右)が採火した火をトーチからランタンに移した
鉄のモニュメントは近代製鉄発祥150周年を記念し2007年に設置。新日鉄釜石製鉄所(現日本製鉄)構内で保存されてきた高炉の火を分けてもらい、「ものづくりの灯を永遠に」と記した磁鉄鉱石碑と共に“鉄のまち釜石”を発信している。東日本大震災の津波被害で火は一時消えたが、再びともされ、14年のSL銀河運行開始時には今回同様、この火を採火し火入れを行った。
採火に立ち会った髙橋駅長は「ラストシーズンも釜石の大切な火を頂戴し、力強く運行していく。これまで全国から大勢のご乗車をいただいた。感謝の気持ちを込め、最後まで安全、安定輸送に努める」と思いを強くした。今シーズンも沿線の駅などで、さまざまなイベントが企画される。
被災した沿岸地域への誘客など観光面からの復興支援、地域活性化を目的に運行を続けてきたSL銀河。14年4月12日の運行開始以来、春から初冬の土日祝日などに約480本を運行し、約7万人が乗車している。
2014年4月の運行開始から人気を集めてきたSL銀河。沿線住民に夢と希望を与えた(写真:復興釜石新聞)
各駅では多くの鉄道ファンがカメラを構える=2021年、陸中大橋駅
SL銀河ラストシーズンの運行は3月25日から。土日を中心に上下計24本の運行を予定する。最終定期運行は6月3日(釜石行き)と4日(花巻行き)。10、11日の旅行商品専用の団体臨時列車が最後の運行となる。
釜石新聞NewS
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