友好都市 横手市から釜石市へ 災害時にも役立つ木製ブロック塀寄贈 根浜キャンプ場で活用


2023/02/20
釜石新聞NewS #防災・安全

秋田県横手市から釜石市への木製ブロック塀「木兵衛(もくべえ)」寄贈式

秋田県横手市から釜石市への木製ブロック塀「木兵衛(もくべえ)」寄贈式

 
 釜石市鵜住居町の根浜海岸観光施設「根浜シーサイド」キャンプ場に、友好都市・秋田県横手市(髙橋大市長)から木製ブロック塀「木兵衛(もくべえ)」が寄贈された。木目の美しさなどで知られる“秋田スギ”の間伐材で作られた塀は自然景観になじみ、災害時には解体して燃料のまきに利用することができる。8日、同施設で寄贈式が行われた。
 
 横手市から石山清和副市長、塀を製造する第三セクター・Woody(ウッディ)さんない(代表取締役=石山副市長)の高橋嘉男専務取締役、森岡吉己営業課長が出席。石山副市長が釜石市の野田武則市長に目録を手渡した。
 
横手市の石山清和副市長(右)が釜石市の野田武則市長に目録を贈呈

横手市の石山清和副市長(右)が釜石市の野田武則市長に目録を贈呈

 
横手市のWoodyさんないが製造する木兵衛

横手市のWoodyさんないが製造する木兵衛

 
 「木兵衛」は東日本大震災の経験をもとに同社が開発。コンクリート塀に比べて軽量なため、倒壊による重大事故のリスクを軽減できる。ボルトやくぎなど金物を使わないオールウッド工法で、ブロック状の目隠し板は取り外し可能。災害時は、暖を取ったり煮炊きしたりするための即席燃料として使える。SDGsに配慮した取り組みなどが評価され、昨年、ウッドデザイン賞(ライフスタイルデザイン部門)も受賞した。根浜には高さ90センチ、延長12.6メートルの塀2組を設置した。
 
「木兵衛」の開発経緯について話すWoodyさんないの高橋嘉男専務(左)

「木兵衛」の開発経緯について話すWoodyさんないの高橋嘉男専務(左)

 
災害時には上部の笠木を取り外し、ブロック状の目隠し板を燃料として利用可能。同板には燃焼しても人体に無害な自然塗料を施す

災害時には上部の笠木を取り外し、ブロック状の目隠し板を燃料として利用可能。同板には燃焼しても人体に無害な自然塗料を施す

 
根浜海岸キャンプ場入り口に設置された2組の塀

根浜海岸キャンプ場入り口に設置された2組の塀

 
 森林環境譲与税を活用し、秋田県産材の利用拡大、木製品の普及に取り組む横手市。今回の寄贈に際し石山副市長は「沿岸部の防災の一役を担う形で活用いただければ。これを機に、農林水産業を通じて両市の新たな経済交流へと発展させていければ」と願った。
 
 横手市と釜石市は北緯40度Bラインの北東北横軸連携で、1990年代半ばから行政や民間レベルで交流。釜石で長年行われてきた冬のイベントでは、横手名物「かまくら」の出前、「横手やきそば」の出店などで市民を楽しませた。震災後は横手市から釜石市に多くの応援職員が派遣され、復興推進に力を貸した。野田市長は今回の寄贈とともに、これまでの協力に深く感謝。さらなる交流、連携に期待を寄せた。

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