世代超えて対局 釜石・子ども将棋教室 プロ試験挑戦中!小山怜央さんの影響で高まる将棋熱
将棋盤を囲んで交流する正棋会の会員と子どもたち
釜石市小佐野公民館(佐藤貴之館長)主催の子ども将棋教室が6日、小佐野町の小佐野コミュニティ会館で開かれ、市内の小学生10人が地域の人から将棋の手ほどきを受けた。冬休み中の子どもの居場所、体験・学習活動の場を提供する「冬休み寺子屋事業」の一環で、市内の将棋愛好者らでつくる「正棋会」(西田晃代表、会員約20人)の協力で、合わせて3回実施。例年、参加者を募ると即埋まるという人気の教室で、新型コロナウイルス禍で約2年ぶりの開催となった今回も定員(先着8人)を上回る申し込みがあった。
冬休み中の子どもたちが集まる小佐野公民館の将棋教室
「お、しばらくだったね。元気だった?」。顔なじみの高学年児童に声をかけた西田さん(77)は早速駒を並べて対局した。低学年の子どもたちは初顔合わせで、会員が指導対局。「ほー、そこにいくか」「ちょっと、ゆるくない(釜石地域の方言できつい・大変の意味)よ」「悩ませるなー」。会員をうならせる一手を繰り出す子もいて、互いに刺激を受けながら交流を楽しんでいた。
低学年の児童の対局は会員が見守り、助言した
1年ほど前に将棋を始めた近藤一葵(いつき)君(小佐野小2年)は、父親以外の大人と将棋を指すのは初めてで、「ドキドキする。でも楽しい」とにっこり。ハンデをもらっても負けてしまうが、「もう一局、お願いします」と何度も勝負を挑んだ。分からない所を教えてもらい、うれしそうな様子で、「パチッという音が、かっこいい。強くなりたい」と意欲を見せた。
平田の澤田秀人さん(81)は、ひ孫のような子どもたちの腕前に「まだまだ」と頬を緩めつつ、「これからが楽しみだ」と優しく見守った。
子どもも大人も盤上の攻防に夢中になった
佐藤館長によると、同教室の人気は藤井聡太五冠(20)=竜王・王位・叡王・王将・棋聖=の活躍が影響しているという。しかし最近、市内では別の理由で将棋熱の高まりを感じる場面が増えている。プロの将棋棋士を目指し、アマチュアから編入試験5番勝負に挑んでいる地元・鵜住居町出身の小山怜央さん(29)の存在だ。
少年期、高校生時代の小山さんを知る西田さんは「より強くなっているようだ」と目を細める。編入試験の第3局は20日。小山さんは初戦から連勝しており、あと1勝で棋士養成機関の奨励会未経験のアマチュアとして初めて、かつ岩手県初の棋士となる。「実力を出し切って合格してほしい」。期待を込め、エールを送っている。
西田さん自身は週6日、将棋ざんまい。週2回の正棋会のほか、他地区の集まりにも顔を出して腕を磨いていて、「子どもたちの進歩は早い。どんどん強くなり、大人になっても一緒に将棋を楽しんでもらえれば。われわれも負けずに指し続けたい」と盤面に向かった。
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