育て!根浜由来の植物 釜石東中生7種を植栽 震災前の海岸風景復活へ活動5年目


2022/11/07
釜石新聞NewS #地域

釜石東中2年生による海浜植物の移植作業=根浜

釜石東中2年生による海浜植物の移植作業=根浜

 
 東日本大震災の津波で多くの海浜植物が失われた釜石市鵜住居町の根浜海岸。地域に親しまれたかつての風景を取り戻そうと、地元の釜石東中(佃拓生校長、生徒102人)は、同海岸由来の植物を種から育て現地に植え戻す活動を2018年から継続する。5年目を迎えた今年も、生徒たちが大切に育てた苗を移植。息の長い活動で根浜の原風景復活を目指す。
 
 同校は、震災後の海辺環境再生へ官民で取り組む根浜海岸林再生実行委(前川昭七会長)と連携し、総合的な学習の一環として同活動をスタートさせた。毎年春に同海岸について学ぶ座学、種まきから始め、夏に移植地の清掃など環境整備、秋には育てた苗の植栽を行っている。
 
 種まきと苗の育成、移植に取り組むのは2年生。今年は5月にハマヒルガオ、ハマエンドウ、ハマボウフウの種をまき、水やりや日光管理を行いながら成長を促してきた。移植は10月26日に実施。生徒26人が地元の協力者らと作業にあたった。移植場所は防潮堤沿いに連なるマツ林の海側スペース。同所には16年に県の事業で砂が投入されている。この日は、講師を務める県立大総合政策学部の島田直明教授(植生学、景観生態学)らが育てたケカモノハシ、コウボウムギなど4種も合わせて移植。生徒らは雑草を刈り取った後、地面に穴を掘り、計約250株を植え付けた。
 
生徒たちは移植場所の雑草取りから作業開始

生徒たちは移植場所の雑草取りから作業開始

 
苗を植えるための穴を掘る。力のいる作業

苗を植えるための穴を掘る。力のいる作業

 
育苗ポットから取り出した苗を砂地に移植

育苗ポットから取り出した苗を砂地に移植

 
 学級会長の小笠原颯真君は「学習を始める前は知らなかった珍しい植物ばかり。根浜の名物になるぐらい、たくさん生えて育ってほしい。ハマナスとかきれいな花も見られるので、もっとみんなに愛されるような海岸になったらうれしい」と未来の姿を思い描く。
 
 根浜海岸の砂浜とマツ林周辺には震災前、10数種の海浜植物が見られたが、津波で砂浜の半分以上が流失。マツ林は残ったが、植物の数は激減した。種を取り苗を育成して植え戻す活動は地元住民らが始め、支援者の協力で続けられてきた。この活動に中学生が加わり、学校ぐるみで取り組みが進むことについて、島田教授は「自分たちが住む地域への愛着にもつながるのでは。中学生の活動によって、地域の人たちが根浜海岸の希少価値を再認識し、大事にしたいと思ってくれたら」と期待を込める。
 
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 釜石東中生が植栽を続ける約100メートルの区間では、これまでに植えた苗が着実に根付いている。今後はさらに効率的に増やせるよう工夫しながら取り組んでいくという。

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