日本スポーツマスターズ岩手大会 軟式野球出場の釜石・ヨーカクラブ 鹿児島代表に善戦


2022/09/28
釜石新聞NewS #スポーツ

日本スポーツマスターズ岩手大会軟式野球 奄美BBC(鹿児島)―ヨーカクラブ(岩手)

日本スポーツマスターズ岩手大会軟式野球 奄美BBC(鹿児島)―ヨーカクラブ(岩手)

 
 日本スポーツマスターズ2022岩手大会は23日から26日まで県内12市町で11競技を実施。釜石市など沿岸6市町では24日から軟式野球競技が行われた。同市平田総合公園野球場では1回戦から準決勝まで計6試合があり、各都道府県の代表が熱戦を繰り広げた。地元釜石からはヨーカクラブが出場。目標としていた全国の舞台で持てる力を存分に発揮した。マスターズ大会は3年ぶり、本県では初開催となった。
 
 軟式野球は40歳以上の選手で構成する32チームが出場し、トーナメント戦で優勝を競い合った。平田球場の初日は降雨のため、屋内で開始式。第1試合で対戦するヨーカクラブ(開催地枠)と鹿児島県代表の奄美BBC(ベースボールクラブ)が顔をそろえた。大会名誉会長の野田武則釜石市長は、東日本大震災で受けた全国からの復興支援に深く感謝。「全力を尽くして健闘を」と選手らにエールを送った。
 
岩手県野球協会尾形英一副会長が開会宣言。(左から)ヨーカクラブの遠野大輔主将、菅原隆監督

岩手県野球協会尾形英一副会長が開会宣言。(左から)ヨーカクラブの遠野大輔主将、菅原隆監督

 
 始球式には地元の浜っ子野球スポ少、釜石中で5年間野球を続けた佐々木唯さん(20)が登場。その姿を追ってスポ少に入った妹凜さん(釜石商工高3年)が打者、県内唯一の女性審判員として活躍する母美紀さん(45)が球審を務め、式を盛り上げた。
 
始球式で投手を務めた佐々木唯さん(左)。母美紀さん(中)、妹凜さんも協力。写真提供:釜石市野球協会

始球式で投手を務めた佐々木唯さん(左)。母美紀さん(中)、妹凜さんも協力。写真提供:釜石市野球協会

 
 第1試合はグラウンド整備のため1時間余り遅れて開始。両チームの投手は上々の立ち上がりを見せ、味方の堅い守備も手伝って互いに得点を許さない。試合が動いたのは5回裏。ヨーカクラブの先頭打者、9番小笠原大洋が左中間を突く2塁打を放ち、続く1番佐々木博貴の犠打、盗塁で二、三塁の好機に。ここで2番鈴木得之の飛球を一塁手が捕球し損ねる間に小笠原がホームにかえり、待望の先制点。さらに3番阿部裕樹の犠飛で佐々木がホームに滑り込み、2点目を挙げた。
 
ヨーカクラブは5回、鈴木(背26)の打球が相手のミスを誘い、小笠原(背0)がホームにかえり1点を先制

ヨーカクラブは5回、鈴木(背26)の打球が相手のミスを誘い、小笠原(背0)がホームにかえり1点を先制

 
犠飛で三塁の佐々木(背1)がホームに滑り込み追加点。0-2とする

犠飛で三塁の佐々木(背1)がホームに滑り込み追加点。0-2とする

 
 奄美BBCもすかさず反撃。6回表、2安打で出塁後、ヨーカのミスや四球で2点を返し同点に追いつくと、なおも満塁の好機に強打の一発。さらに1点を加え3-2と逆転に成功した。奄美は最終7回にも3本の長打や犠飛で3点を追加。6-2とヨーカを突き放した。
 
 最終回、ヨーカの攻撃は2点を挙げた5回と同じ打順。小笠原の内野安打、佐々木の右前打などでまずは1点。阿部が右翼線に運び追加点を挙げるが、後続が倒れ試合終了。6-4で敗れ、全国大会初勝利は次回への持ち越しとなった。
 
観戦客からは健闘をたたえる拍手が送られた

観戦客からは健闘をたたえる拍手が送られた

 
 早起き野球チームとしてスタートしたヨーカクラブは創部45年。早起き野球は県大会優勝4回、一般(C級)も東北大会出場などを果たすが、全国大会出場は、活動4年目の壮年(40歳以上)チームも含め初めての経験。今大会は、クラブの創始者で昨夏急逝した佐野一男前監督(享年75)の願いをかなえる大舞台となった。
 
試合前、気持ちを一つにするヨーカクラブの選手ら。佐野一男前監督の遺影に黙とうをささげた(左上)

試合前、気持ちを一つにするヨーカクラブの選手ら。佐野一男前監督の遺影に黙とうをささげた(左上)

 
 監督を引き継いだ菅原隆さん(58)は「佐野前監督が口癖のように言っていたのが全国大会出場の夢。一緒に出よう、ヨーカクラブの名を知らしめようと、みんな頑張ってきた。負けたのは残念だが、一つ目標は達成できた」と安堵(あんど)の表情。「来週もOB(壮年)の県大会があるので、今日の悔しさもぶつけて県王者を目指したい」と勢いづいた。
 
 「監督、怒っているだろうな~」。厳しくも選手に慕われた佐野前監督の姿を思い浮かべ、菅原さんと笑顔で口をそろえた佐々木博貴さん(43)。「相手チームは一枚も二枚も上手だったという印象。何とかしがみついてできたのかな」。震災もありながら、野球を楽しめていることに喜びを感じ、「まだまだ強くなれると野球の神様が言ってくれている。釜石のために頑張らねば」と意気込んだ。
 
会場では釜石名物「魚河岸ジェラート」と「仙人秘水」をお振る舞い。参加者の疲れを癒やした

会場では釜石名物「魚河岸ジェラート」と「仙人秘水」をお振る舞い。参加者の疲れを癒やした

 
 3日間の熱戦の結果、優勝したのは愛知県代表の安城ベースボールクラブ。6年ぶり3度目の日本一に輝いた。岩手県代表の永愛友OB、開催地枠の雫石クラブOB、クロニーズは1回戦で敗れた。

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