釜石東ロータリークラブ お盆を前に外国人物故者を慰霊 碑に花ささげ供養
外国人船員の慰霊碑を訪れた釜石東ロータリークラブの会員
釜石東ロータリークラブ(松田宇善会長、会員25人)は4日、釜石市大平町の大平墓地公園にある外国人慰霊碑を訪問。戦後、仕事で同市を訪れていた際に病気などで亡くなった外国人船員ら7人の供養を行った。同碑はクラブが1989年に建立。以来、毎年お盆前のこの時期に、会員らが周辺を清掃し、鎮魂の祈りをささげている。
会員16人が足を運び、同碑に花と線香を手向け、物故者の霊に手を合わせた。会員らは遠い異国の地で眠る釜石ゆかりの外国人らを思い、継続供養へ気持ちを新たにした。
会員が順に線香を手向け、物故者の冥福を祈った
終戦から6年後の1951(昭和26)年、釜石港は国の重要港湾に指定され、外国貿易船の入港が増え始めた。乗組員の中には、入港中に傷病で命を落とす人も。大只越町の石応禅寺には、53(同28)年8月~57(同32)年3月に亡くなった外国人7人を弔う墓地が山腹の3カ所にあった。当時、引き取り手がなく、市などが同地に埋葬したものとみられる。
64(同39)年に創立した同クラブは、訪れる人もなく荒廃していた墓地を気にかけ、長年お盆の時期に清掃、物故者の供養を続けていたが、市と相談の上、大平墓地公園内への合葬と慰霊碑建立を決定。89(平成元)年、クラブの25周年に合わせ事業化した。幅約2・5メートルの楕円(だえん)型の自然石に、当時の野田武義市長が揮毫(きごう)した「望」の文字板を埋め込んだ。隣に物故者の氏名、国籍、没年月日と追悼文を刻んだ石碑も建てた。
巨大な自然石で造られた慰霊碑。左隣には銘文碑もある
外国人物故者の国籍はギリシャ、シンガポール、インド、ノルウェー、米、英、中国と全て異なる。同クラブは30周年時に物故者のルーツをたどり、判明したノルウェー人遺族を釜石に招き、記念式典であいさつをしてもらった。
松田会長は「こうした歴史はあまり知られていない。先輩会員からしっかりと引き継ぎ、長く後世につないでいかねば。クラブ会員だけでなく、多くの市民にも機会あるごとに慰霊碑に足を運び、手を合わせてもらえたら」と願った。
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