地域で支える認知症 釜石・鵜住居「チームオレンジ」結成 「お互いさま」「おせっかい」精神で 


2022/07/18
釜石新聞NewS #福祉

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認知症の人をサポートするチームオレンジ・はまぼうふうのメンバー

  
 釜石市鵜住居町で6日、認知症の人やその家族を地域で支援するためのボランティア団体「チームオレンジ・はまぼうふう」が結成された。養成講座などで専門知識を身につけた有志の認知症サポーター31人がメンバーとして登録。「認知症になっても安心して暮らせるまちづくり」を目指し、高齢者サロンや声掛け、見守り活動などを展開する。
  
 チームオレンジは認知症支援のため国が進める施策で、認知症の人やその家族らの困り事ニーズと認知症サポーターを結び付ける仕組み。2025年までに全市町村に設置することを目標に掲げる。オレンジは認知症サポーターを象徴する色。県内では矢巾町と滝沢市で結成されている。
   
 鵜住居町では認知症の住民に寄り添った地域づくりを推進しようと、13年度からサポーター養成講座を開催。高齢者だけでなく、小中学生も対象にし、地域を挙げて認知症の理解促進に取り組んできた。定期的に設けられている地域課題を話す場で、主体的に活動するチーム立ち上げの機運が高まり、19年度からステップアップ講座など追加の研修を重ねてきた。
  
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結成式でチーム体制や活動内容を確認した

   
 同日、鵜住居地区生活応援センターで結成式があり、登録した60~80代の約20人が参加。チーム体制や役割について共有した。活動のシンボルカラーにちなんだリストバンド「オレンジリング」が配布され、早速身に着けたメンバーは認知機能向上に効果があるという「しゃきしゃき百歳体操」に挑戦。映像に合わせて頭と身体の両方を動かす体操で、2つの動作を同時に行うことに苦戦つつ、笑い声を漏らしていた。
 
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サポーターのシンボル・オレンジリングが配布された

  
 団体名には、浜辺に根を張って育つセリ科の多年草「はまぼうふう(ハマボウフウ)」のように活動が地域に広く浸透してほしい―との願いを込めた。日向(ひかた)地区の川崎シゲさん(81)は「自分だけでなく地域には年寄りが多い。『お互いさま』というように見守り合っている。これからも、家族やきょうだいのように接していきたい」と穏やかに話した。同地区では百歳体操で交流を深めるグループが発足していて、活動を継続していく。
  
 「コロナ禍でおせっかいは引っ込めていたが、これからは前向きにおせっかいになろうと思う」。そう話すのは新神町内会長の岩﨑久延さん(73)。約180世帯が暮らすが、ここ数年は地区を挙げた草刈りで2回ほど顔を合わせる程度になっているという。自身の健康、認知症予防のためにも声を掛け合える地域づくりを望んでいて、「積極的に出かけて話し相手を探したい」と意欲を見せた。
 
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活動の参考にと、しゃきしゃき百歳体操を楽しむメンバーら

  
 今年度はメンバーが中心となって町内会単位での啓発活動や介護予防に取り組む。3カ月に1回集まり、取り組み状況や課題を共有。市社会福祉協議会、同センター、市地域包括支援センターが事務局を担い、活動を後押しする。
  
 市地域包括支援センターでは、高齢者らが行方不明になった際の早期発見を目的に、認知症高齢者徘徊(はいかい)SOSネットワーク事業を実施。昨年11月からQRコードラベルを活用した情報共有システム「どこシル伝言板」を導入し、見守りの広がりを期待する。関係者らは「鵜住居限定の小さな活動が先進的な取り組みとなり、市内全域に波及してほしい」と願う。

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