深刻化する海洋ごみを減らせ!「春の海ごみゼロウィーク」釜石で清掃活動


2022/06/03
釜石新聞NewS #地域

釜石市の海岸で行われた“海ごみゼロ”清掃活動

釜石市の海岸で行われた“海ごみゼロ”清掃活動

 
 5月28日から6月12日まで展開される「春の海ごみゼロウィーク」全国一斉清掃キャンペーン(環境省、日本財団主催)。釜石市ではスタート初日、市民団体「かまいし環境ネットワーク」(加藤直子代表)が呼び掛け、両石町水海の通称・桐島海岸で清掃活動が行われた。参加者はプラスチックごみが海洋環境に与える影響なども学び、流出防止への意識を高めた。
 
 官民6団体から約20人が参加。活動場所は、国道45号から愛の浜海水浴場に向かう途中にある小さな浜「桐島海岸」。参加者は道路脇から海辺までの緑地を含めた一帯で約1時間にわたり、ごみを拾い集めた。
 
浜に至る緑地にはさまざまなごみが散乱。協力して拾い集めた

浜に至る緑地にはさまざまなごみが散乱。協力して拾い集めた

 
海の安全を守る釜石海上保安部職員も活動に協力

海の安全を守る釜石海上保安部職員も活動に協力

 
 一帯は11年前の東日本大震災で津波に襲われた場所。緑地には経年劣化したプラスチック片や金属ごみ、空き缶、漁具などのほか、比較的新しいと見られる飲料容器(缶、瓶、ペットボトル)、靴、灯油用ポリタンクなどもあった。波で打ち上げられたものか、運ばれて故意に捨てられたものか、判別が難しいごみも多かったが、いずれにしても人の暮らしの中で排出されたごみであることは確か。集められたごみの量は約200キロにもなった。
 
海への流出が問題となっているプラスチックごみも多数見つかった

海への流出が問題となっているプラスチックごみも多数見つかった

 
波で打ち上げられた流木に交じる多種多様なごみを集める参加者

波で打ち上げられた流木に交じる多種多様なごみを集める参加者

 
自転車の一部とみられるさびついた金属ごみも…

自転車の一部とみられるさびついた金属ごみも…

 
 この日は活動に先立ち、同ネットワーク会員で県環境アドバイザーの臼澤良一さん(73)が海洋プラスチックごみについてのミニ講話も行った。国内外のデータを示し、▽1年間に海に流れ出るプラごみの量が800万トン(東京ドーム7個分の重量)に及び、これは釜石市で排出されるごみの約571年分に相当すること▽海洋ごみの約65%がプラごみで、他の種類に比べ群を抜いて多いこと―を説明。プラごみが自然分解されるのにかかる時間は、予想される最大値で、レジ袋20年、ペットボトル450年、釣り糸600年という米国のデータも紹介した。
 
海洋プラスチックごみの現況を説明する臼澤良一さん(左)

海洋プラスチックごみの現況を説明する臼澤良一さん(左)

 
 臼澤さんは、海中で微小化するマイクロプラスチックについて、「魚が食べてしまうことにより、食物連鎖で最後は頂点の人間が影響を受けることになる。暮らしの中でなるべくごみを出さない、適正な処理をする―など、自分たちができることを積極的に実践してほしい」と呼び掛けた。
 
国際ソロプチミスト釜石はまぎくの会員はそろいのジャンパーで活動

国際ソロプチミスト釜石はまぎくの会員はそろいのジャンパーで活動

 
 一昨年設立された女性奉仕団体「国際ソロプチミスト釜石はまぎく」(中村のり子会長)は、環境整備活動に力を入れ、同ネットワークが行う活動にも協力。会員らは同海岸での初めての清掃に「ごみの多さに驚いた。たき火をしたような跡もあり、遊びにきた人が放置したのか、通行する車から投げ捨てたのか?」。故意による投棄が見られる現状に心を痛め、「一人一人の意識が大切。ごみの持ち帰りは徹底してほしい」と強く願った。

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