コロナに負けず稽古継続 長唄三味線子ども教室10人が成果発表


2022/02/01
釜石新聞NewS #文化・教育

長唄三味線子ども教室発表会=中妻北地区コミュニティ消防センター

長唄三味線子ども教室発表会=中妻北地区コミュニティ消防センター 

 

 杵家会釜石支所(杵家弥多穂代表)が主催する伝統文化長唄三味線子ども教室は1月23日、本年度の教室最終日を迎え、受講した10人がこれまでの稽古の成果を発表した。新型コロナウイルス影響下での教室は2年目を迎えたが、意欲ある子どもたちの成長を止めまいと、感染防止策を徹底しながら稽古を継続。全15回の日程を終えた受講生は、さらなる上達を願い、来年度の開講に期待した。

 

 同教室は2008年度に開始し、東日本大震災による中断を経て再開。13年目となる本年度は昨年6月に開講し、小中高生9人と大人1人が受講した。継続受講は3~9年目。初受講した釜石中の2年生3人は、同会が昨年9月に学校に出向いて行った三味線体験会を機に教室へ。杵家代表ら4人の講師が、受講年数に応じてきめ細かく指導した。感染症対策として受講生を3組に分け、時間をずらして稽古した。

 

修了証書を授与される濱田真由香さん(右)

修了証書を授与される濱田真由香さん(右)

 

 発表会に先立ち行われた閉講式では、受講9年目となった濱田真由香さん(釜石中3年)が代表で修了証書を受け取った。来賓の市文化振興課・藤井充彦課長は、コロナ禍での学びの機会提供に敬意を表し、「先生方の熱意が子どもたちの意欲につながっているものと思う。教室で学んだことを日々の暮らしにも生かし、心身豊かに成長していくことを願う」と期待した。

 

「釜石市民歌」の演奏、歌で開演した発表会

「釜石市民歌」の演奏、歌で開演した発表会

 

 演奏は「釜石市民歌」からスタート。初心者2人は長唄三味線の入門曲「松の緑」の合いの手(間奏)で稽古の成果を発表。歌舞伎「娘道成寺」の合いの手など2曲が続いた。後半は講師が唄で加わり、「元禄花見踊り」(三部合奏)と「雪」の合方(あいかた)を演奏。春と冬の風情を醸す曲で季節の違いを表現した。最後は歌舞伎十八番の「勧進帳」から「寄せ」「こだま」「滝流し」「舞い」の4つの合方を披露。高度な技と息の合った音色で、見守った保護者や来賓をうならせた。

 

中級、上級者らによる演奏は聞きごたえ十分

中級、上級者らによる演奏は聞きごたえ十分

 

来賓や保護者は見事な調べに感心しながら拍手

来賓や保護者は見事な調べに感心しながら拍手

 

 稽古を始めて5カ月の及川美結さん(釜石中2年)は、学校での体験会を機に興味を持ち、「自分も弾けるようになりたい」と教室に通うように。10回の受講ながら、入門曲を演奏できるまでに上達した。「難しかったが、自分なりに頑張ってこられた」と達成感を見せ、「ちょっとずれただけで音が変わる。難しさもあるけど、それが楽しい。先輩方みたいに弾けるようになるのが目標」と稽古の継続を誓った。

 

 姉妹で三味線を学んできたのは佐藤七海さん(釜石高3年)、永愛さん(小佐野小6年)、あいなさん(同2年)の3人。七海さんは小学6年時に教室のチラシを見て、弟海輝人(みきと)君(現釜石高1年)と受講を開始。その後、2人の姿を追って妹2人も入り、昨年度まで4人で稽古に励んだ。

 

仲良く三味線を学んだ佐藤3姉妹。あいなさん、七海さん、永愛さん(左から)

仲良く三味線を学んだ佐藤3姉妹。あいなさん、七海さん、永愛さん(左から)

 

 就学前から教室に通い、長唄に親しんできたあいなさんは、3年目の本年度から三味線の稽古を本格化。6年目の永愛さんは、名取でも難しいという「滝流し」に初挑戦し、発表会で中高生らと見事な演奏を見せた。七海さんは年の離れた妹らと三味線で絆を深められたことを喜び、「昨年はきょうだいみんなで楽しんで演奏できた」とにっこり。7年の学びを振り返り、「練習を重ねるたびに上達するのがうれしくて。部活で吹奏楽をやってきたので、洋楽、邦楽それぞれの魅力を感じることができた」。高校卒業後は進学のため釜石を離れる予定で、「何らかの形で三味線も続けられたら」と願った。

 

「松の緑」の合いの手を堂々と弾く佐藤あいなさん(左)。将来が楽しみ

「松の緑」の合いの手を堂々と弾く佐藤あいなさん(左)。将来が楽しみ

 

「勧進帳」の合方「滝流し」を弾く佐藤永愛さん(前列右)。姉七海さん(後列左)と難曲に挑む

「勧進帳」の合方「滝流し」を弾く佐藤永愛さん(前列右)。姉七海さん(後列左)と難曲に挑む

 

 杵家代表は「長く続けてくれるのは(三味線が)好きだからこそ。稽古中は私語も無く、覚えるのに真剣。成長とともに難しい曲に挑戦できるのも励みになっているのでは」と話し、今後の開講にも意欲を示した。

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