ボーイスカウト釜石第2団60周年 釜石に残る唯一の団が活動継続へ意欲
ボーイスカウト釜石第2団創立60周年記念式典
ボーイスカウト釜石第2団(菊地次雄育成会長、末永正志団委員長、64人)は12日、釜石市大町の情報交流センター釜石PITで、創立60周年記念式典を開いた。関係者約80人が出席。団に貢献した企業や団体の代表、団役員ら16人に感謝状を贈った。戦後、市内各地区で団が結成され、最盛期には7団が活動した釜石のボーイスカウト(BS)。現在は第2団のみが活動する。式典出席者は伝統を継承し、「地域や社会に役立つ人材育成」へ力を注いでいくことを誓い合った。
式辞に立った菊地育成会長は「60年間のスカウト(団員)は1千人に及ぶ。大自然の中での仲間と助け合いながらの活動は後の大きな財産になる。次代を担う子どもの健全育成は大人の責任」と活動意義を強調。末永団委員長は東日本大震災後の活動について、「BS岩手連盟や県内の野外活動団体の協力で、遊び場の提供やキャンプへの招待を行い、被災地の子どもたちの心のケアに努めてきた。身を粉にして尽力した指導者らに感謝したい」と述べた。
末永正志団委員長が団の歴史や震災後の活動について紹介した
2012年5月にBS岩手連盟と釜石第2団が開いた「遊びの広場」=シープラザ遊
施設・設備の提供、寄付、永年奉仕(10年以上)などの功労で、団内外の16人に感謝状を贈呈。発団時からスカウト活動を継続し、指導者として長年貢献してきた育成会副会長の奥田耕一さん(73)に名誉役員の称号「先達」を贈った。奥田さんは中学2年生で入団。班長として団員を率い、第2団の礎を築いた。指導者となってからも団を精力的に支え、2019年度までの16年間、団委員長を務めた。発団時から60年間在籍するのは、奥田さんと現団委員長の末永さん(71)だけとなっている。
感謝状を受ける山崎義勝副団委員長。山崎さんは5月にBS日本連盟の功労賞「たか章」も受章
名誉役員の称号「先達」を贈られた奥田耕一さん
式典では、副団委員長の山崎義勝さん(68)が本年5月の全国大会で、公益財団法人ボーイスカウト日本連盟の功労賞「たか章」を受章したことも報告された。第2団で同章を受けるのは4人目。式後の活動報告会ではスカウトらが歌で60周年を祝い、直近10年間の活動を映像で振り返った。
BS釜石第2団は1961年、釜石小只越地区PTAが青少年の健全育成を目指し発団。地区の小・中学生32人でボーイ隊(小6~中3)を結成した。後にカブ隊(小3~小5)、ベンチャー隊(高校生)、ビーバー隊(小1、2)が発足。81年には同団最多のスカウト81人を数えた。野外活動を通じて安全、環境、防災などの知識とスキルを習得。仲間との活動で協調性や忍耐力を育み、現代社会で求められる生きる力を身に付ける。本年度はローバー隊員(19~25歳)含め47人がスカウト登録する。
60周年を祝ううちわを掲げるビーバー、カブ隊
りりしい制服姿で歌うボーイ、ベンチャー隊
ボーイ隊2班班長の川端海惺君(釜石中2年)は「先輩たちに倣い、自分も後の人たちにつなげていけるようにしっかりリードし、活動の質を高めていきたい」、同1班班長の阿部雅俊君(大槌学園8年)は「何でも便利になっているが、それが無くなった時、自分で考え行動する力が求められる。スカウト活動で身に付けたことは災害時にも役立つ」とし、今後の活動へ意欲を示した。
感謝状の贈呈は次の通り。
▽寄付=釜石東ロータリークラブ(齊藤裕基会長)
▽施設・設備提供=日東自動車工業(菊地次雄社長)
▽自然体験プログラム提供=浜千鳥(新里進社長)
▽維持会費提供(寄付)=奥田耕一(育成会副会長)、末永正志(団委員長)、山崎義勝(副団委員長)、山崎幹雄(元事務局長)
▽施設・設備提供、永年奉仕=高木稔(ビーバー隊長)、大信田信恵(カブ隊長)、小井土元彦(ボーイ隊長)、菊地次雄(育成会長)、新里進(育成会副会長)、奥田耕一、千田雅恵(育成会会計係)、末永正志、山崎義勝、千田与一(事務局長)、菊地敏文(団委員)、山口貴廣(同)、川端俊一(同)、工藤誠(同)
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