震災後初の釜石開催 支部消防操法競技会に釜石市から2チーム出場 28日の本番へ訓練大詰め

遠野釜石地区支部消防操法競技会・ポンプ車の部に出場する釜石市消防団第7分団第1部の団員
第14回県消防協会遠野釜石地区支部消防操法競技会(同支部主催)は28日、釜石市鈴子町の釜石消防庁舎東側防災空地で開かれる。同競技会は遠野、釜石、大槌3市町持ち回りで2年に一度開催されるが、釜石市が会場となるのは東日本大震災後初めて。新型コロナウイルス感染症の影響などで2018年以来の大会出場となる釜石市消防団からは、ポンプ車の部に第7分団第1部(前川英之部長、25人)、小型ポンプの部に第5分団第4部(三浦一雄部長、7人)が出場する。両チームは8年ぶりに挑む競技会に向け、一致団結して訓練に励む。
消防操法は実際の火災消火で必要な基本技術の習得を目的としたもので、競技会では機器操作の正確さや速さ、規律を競う。釜石市消防団では以前、市予選の大会を行い、遠野釜石地区支部大会への出場チームを決めていたが、コロナ禍による中止以降、実施体制が整わずにいた。本年度の支部大会が2011年の震災以降、初めて釜石市を会場に開かれることになり、団本部は各分団に出場を打診。名乗りを挙げたのが7分団1部(栗林町)と5分団4部(甲子町一の渡)だった。

実際の火災現場を想定し、ホースの延長や結合、放水まで一連の動作を迅速・確実に行うための「消防操法」

14日午前、競技会に向けた訓練に励む「第7分団第1部」

小型ポンプの部に出場する「第5分団第4部」。14日は7分団1部とともに競技会会場で訓練
両チームは出場メンバーを選定し、5月の大型連休明けから競技会に向けた訓練を開始。仕事を終えた平日夜や日曜日の午前中に集まり、先輩団員の指導や消防職員の助言を受けながら練習を重ねてきた。メンバーには震災後に入団し、初めて競技会に挑む団員も。基本動作を体で覚え、正確さと速さを意識しながら習熟度を高めている。

大会経験のある先輩団員から指導を受ける7分団1部の出場メンバー=11日夜、釜石消防庁舎前

筒先交代時の体勢について消防職員からアドバイスを受ける5分団4部の団員
ポンプ車の部は指揮者(班長以上)を含め5人で操作する。点呼、車両の乗降車後、水利(防火水槽)を確保。53メートル前方に、競技用20メートルホース3本を継いだ2線を延長し、火点の的を目がけて放水する。7分団1部は小林悟班長(49)が指揮者。1番員小笠原雄光(31)、2番員小笠原聡士(40)、3番員藤原直之(45)、4番員三浦仁(51、班長)の4団員で編成する。

車両右後方の防火水槽が水利(写真上)。吸管の操作後、3番員はホースの延長へ

火点の的を目がけて放水する1、2番員と、とび口を構える3番員。とび口は江戸時代から使われる伝統的な破壊器具
初出場は2人。一昨年10月に入団した2番員の小笠原さんは「指名されたからにはやるしかない」と熱心に訓練。「走る距離が長いので体力勝負」と笑う。先輩から教えられている“消火の基本”を肝に銘じ、「大会を機にしっかり習得していきたい」と意気込む。3番員の藤原さんは今年4月に入団したばかり。初の大役に緊張もあるが、「一つ一つの動きを確実に。基本操作を覚え、最後までみんなと頑張りたい」と話す。応援してくれる家族のためにも全力を尽くす構えだ。指揮者の小林さんは「新人2人は覚えるのが早く、どんどん上達している。流れもできてきているので、後は細かい部分」と期待を寄せる。

競技会初出場の2番員小笠原聡士さん(左)と3番員藤原直之さん(右)

練習もいよいよ大詰め。細かい部分の修正を行う

仕事を終えて集まる団員ら。平日夜は週2回ほど練習を重ねてきた
7分団のチームは過去の県大会で好成績を収めた経験がある。1部の前川部長(55)は「先輩たちの意志を継いでやっていきたいと思っていたので」と、釜石からの大会参加復活を好機と捉える。4月には隣の大槌町で大規模山林火災が発生し、7分団も応援消火に駆け付けた。「山のような伝達が伝わりづらい場所では、けがの危険も高まる。現場での対応力を上げるには基本操作の精度を高める必要がある」と大会出場の意義を強調。「メンバーの士気も上がっている。先日の消防演習よりもワンランク上の姿を見せられれば」と指導にも熱が入る。
小型ポンプの部は指揮者(班長以上)を含め4人で操作する。持ち運び可能なポンプを使った競技で、ポンプ車同様、水利を確保し、3本のホースを延長する。ホース延長は第1線のみ。途中で筒先員の交代がある。5分団4部の指揮者は三浦一雄部長(58)。1番員藤井大介(34)、2番員高橋寿(50)、3番員藤井諒(42)の3団員で挑む。

小型ポンプも吸管をつないで防火水槽へ。先端には異物が入らないよう網状の器具を装着

小型ポンプのホース延長は1線(3本)のみ。ポンプ車同様53メートル先まで延ばす

放水開始後、途中で指揮者から1番員に筒先を交代(左下)
メンバー唯一の初出場、1番員の藤井さんは「ホースを担ぎながらで走りづらい。難しさはあるが、できる範囲で最大限頑張っていきたい」と決意。先輩団員の教えをしっかり受け止め、「とにかくけがをしないように」と本番を見据える。チームをまとめる三浦部長は指揮者としては3回目の出場。久しぶりの大会にやりがいを感じ、「操法は消防の一番の肝。自分も年を重ね、今度は下の人たちに教える立場になってきた」と技術伝承も意識する。練習をサポートしてくれる先輩団員の協力に深く感謝し、他メンバーとともにベストを尽くすことを誓う。

これまでの訓練の成果を確認する5分団4部の団員。本番でもベストを尽くすことを誓う

菊池録郎団長から支援金を受け取る両チームの指揮者(写真上)。激励を受け、大会への意欲を高める
大会を2週間後に控えた14日は、菊池録郎団長が両チームに支援金を贈呈。「震災から15年。コロナ禍を経て、今年からまた操法競技に取り組むことができた。体調に気をつけながらぜひ頑張ってほしい」と出場者を激励した。同市では2016年に震災後初の市予選(35チーム参加)を開催。18年に復活2回目の大会(10チーム参加)が開かれて以降、競技から遠ざかっていた。
同地区支部競技会には遠野市から5チーム、釜石市から2チームの計7チームが出場。ポンプ車の部は3チーム、小型ポンプの部は4チームで競う。4月に発生した山林火災の影響で大槌町消防団は出場を断念。ラッパ隊のみ参加する。各部の優勝チームは7月26日に県消防学校(矢巾町)で行われる県大会に出場する。

釜石新聞NewS
復興釜石新聞を前身とするWeb版釜石新聞です。専属記者2名が地域の出来事や暮らしに関する様々なNEWSをお届けします。取材に関する情報提供など: 担当直通電話 090-5233-1373/FAX 0193-27-8331/問い合わせフォーム











