災害時の要救護・支援を上空に発信 「SOSシート」を釜石市へ 地域医療連携推進法人が寄贈


2026/06/11
釜石新聞NewS #防災・安全

地域医療連携推進法人「釜石スクラムメディカルネット」がSOSシート(災害時施設状況伝達横断幕)を釜石市に寄贈=2日

地域医療連携推進法人「釜石スクラムメディカルネット」がSOSシート(災害時施設状況伝達横断幕)を釜石市に寄贈=2日

 
 釜石市の地域医療連携推進法人、釜石スクラムメディカルネット(佐藤滋代表理事)は2日、災害時に孤立した施設や避難所の状況を伝える横断幕「SOSシート」5セットを釜石市に寄贈した。東日本大震災の教訓をもとに開発されたもので、情報通信インフラが途絶した場所から、上空のヘリコプターやドローンに必要な救護や支援を伝達する手段として活用が期待される。
 
 寄贈式は中妻町の釜石医師会館で行われた。佐藤代表理事は「大規模災害時に電気や通信などのインフラが使用不能となった場合、こういう基本的なツールが役立つと考えられる。ぜひ有効活用を」と述べ、小野共市長に現物を手渡した。
 
法人の佐藤滋代表理事(医療法人楽山会理事長)が小野共釜石市長に贈呈

法人の佐藤滋代表理事(医療法人楽山会理事長)が小野共釜石市長に贈呈

 
 同シートはテントなどに使われるターポリン素材で、横3.9メートル、縦1.78メートル。地色は自然界にないオレンジ色を採用している。情報を発信した日付、施設の収容者数、傷病者数を、ひもが付いた数字部分(白、オレンジ両面)をひっくり返すだけで簡単に更新できる。施設の状況を知らせる6種のピクトグラム(視覚記号)も表示可能。▽建物倒壊▽通信不通▽飲料水等不足▽食料不足▽医薬品等不足▽電気・燃料等不足―を伝えられ、不要な項目はマジックテープを外して折りたたむ仕様。シートは組み立て式のパイプフレームで固定する。重量は13.5キロ。
 
会場に展示されたSOSシート。数字は左側が日付(6月2日)、右下が収容者数(1034人)、右上が傷病者数(56人)を示す。真ん中はピクトグラム表示

会場に展示されたSOSシート。数字は左側が日付(6月2日)、右下が収容者数(1034人)、右上が傷病者数(56人)を示す。真ん中はピクトグラム表示

 
数字は白とオレンジの両面があるパーツをひっくり返すだけで変更可能

数字は白とオレンジの両面があるパーツをひっくり返すだけで変更可能

 
ピクトグラムは必要なものだけを表示。不要なものは折りたたんで非表示に

ピクトグラムは必要なものだけを表示。不要なものは折りたたんで非表示に

 
 東日本大震災で医療施設が孤立した宮城県気仙沼市で、教訓を生かそうと地元企業や医療関係者により2015年に開発された。同メディカルネットに参画する独立行政法人国立病院機構釜石病院の名誉院長・特任参与の成田德雄医師が開発に関わっていたこともあり、釜石地域の災害対応力向上につながればと今回の寄贈に至った。「アナログな情報伝達手法は、災害が大規模であればあるほど必要になってくる。毎日更新される情報を日付を示して発信することは極めて重要」と成田医師。気仙沼市では避難所となる学校などに配備されているという。本県での導入は釜石市が初めて。
 
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SOSシートの開発に関わった成田德雄医師(左、同法人理事)が寄贈の経緯などを説明

 
 シートの寄贈を受けた小野市長は「災害時、取り残された住民にとって貴重な役に立つツールとなる」と感謝。「どこに配置するかを考え、実際の災害時に効果をしっかり発揮できるよう、市の避難訓練などで使い方を実践してみたい」と述べた。東日本大震災では、半島部の住民がヘリコプターで救助される事例もあった。同市の猪又博史危機管理監は「情報網が途絶された中では、こういうものが情報になる。孤立が想定される半島部を念頭に配備場所の検討を進めていきたい」と話した。

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