大島高任生誕200年企画展 Teson(大橋)で 5日「こどもの日」は中学生以下無料、プレゼントも

釜石鉱山展示室Tesonで開催中の大島高任生誕200年を記念した企画展
5月11日は、日本の近代製鉄の礎を築いた大島高任(1826-1901)の誕生日。本年は生誕200年にあたる。大島が西洋の技術を導入し、日本で初めて鉄鉱石を原料とした鉄生産に成功した釜石市では18日まで、記念の企画展を開催中。大島の西欧人との交流にスポットを当てていて、その人物像を垣間見ることができる。会場は同市甲子町大橋の釜石鉱山展示室Teson(てっさん)。期間中、来場者には記念品を贈呈。あす5日「こどもの日」は中学生以下の入館が無料になり、子ども向けに鉱石のプレゼントがある。
盛岡藩に生まれた大島は17歳で上京し蘭学を学んだ後、長崎、大阪で砲術や大砲鋳造の技術を習得。水戸藩那珂湊での反射炉建設、大砲鋳造を経て、1857(安政4)年、良質な鉄鉱石が産出される釜石・大橋に高炉を建設し、磁鉄鉱を用いた鉄の連続出銑に成功した。大島は高炉建設に至る前、オランダ人ヒュゲーニンが執筆した大砲鋳造法や高炉技術の書物の翻訳者伊東玄朴に師事し、同翻訳にも関わったとされる。釜石の高炉は外国人の直接的な指導を受けることなく、翻訳した蘭書を頼りに築造された。この時、大島32歳。
と、ここまではよく知られた史実だが、今回の企画展は、その後の大島の活躍につながる西欧人との交流について紹介している。大島は釜石での高炉操業成功から3年後の1860(万延元)年、江戸幕府が洋書翻訳や洋学教育のために設立した蕃書調所(ばんしょしらべしょ)に教授手伝いとして招へいされる。箱館(函館)奉行所勤務となった62(文久2)年には、幕府が雇った米国人パンペリー、ブレイクの北海道の炭鉱調査に同行し、採掘のための発破技術も学ぶ。展示では、オランダ語翻訳の腕を見込まれ、蕃書調所から大島に届いた“早急に来てほしい”という旨の手紙、炭鉱調査のことを記した大島の日記の実物が公開される。

蕃書調所から大島に送られた手紙。「プロイセン王国(現ドイツ)条約のオランダ語翻訳のため、明日27日早朝に来てほしい」といった内容

蝦夷地(北海道)の炭鉱調査について記された大島の日記(左)。パンペリーの記載がある。大島の日記などを活字にした「大島高任行実」のコピーも並べて展示
明治に入ると、大島は新政府の鉱山権正(鉱山局次長)に任命され、国内の鉱山開発に着手する。71(明治4)年には、不平等条約の改正交渉を目指した「岩倉使節団」に随行。米国、欧州を歴訪し、ドイツを視察した際、一人残ってフライベルク鉱山学校で学んだ。外遊中に大島が記した“ローマ字日記”は、明治初期としては非常に貴重なものとされる。

岩倉使節団の外遊中に大島が記したローマ字日記。写真は1873(明治6)年1月のページ
幕末から明治にかけては、いわゆる“お雇い外国人”が次々に日本に招かれ、西欧の技術が導入されていった時期である。帰国した大島はそうした外国人と関わる機会が増えていく。74(明治7)年には、ドイツ人ビアンヒーと釜石を訪れ、官営製鉄所建設地選定のための調査にあたった。大島は10トン炉5基を大只越に建設する案、ビアンヒーは25トン炉2基を鈴子に建設する案を出したが、政府はビアンヒー案を採用。企画展ではビアンヒーが釜石から帝国鉱山寮に宛てた報告書なども展示される。
76(明治9)年にはフランス人コワニエと北海道の鉱山視察に向かった。札幌では「ボーイズ ビー アンビシャス(少年よ 大志を抱け)」の名言で知られる米国人クラークと会食。クラークは同年、開校した札幌農学校で教頭を務め、数カ月という短い赴任期間ながら学生らに大きな影響を与えている。大島らは、72(明治5)年に来日し、北海道で地質調査を行っていた米国人ライマンの痕跡も確認。コワニエ、クラークらの名前は大島の日記にも登場する。展示会場では、ライマンが中心となって76年に作成した日本初の北海道の地質図の復刻版も見ることができる。

コワニエ、クラーク、ライマンの記述がある大島の日記帳(1876年)。この時、大島は51歳

ライマンが作成した「日本蝦夷地質要略之図」の1961(昭和36)年復刻版。北海道の地質調査の結果が記される
大島はその後、小坂鉱山(銀・銅)や阿仁鉱山(銀)、佐渡鉱山(金・銀)など全国の主要鉱山の近代化に尽力。90(明治23)年には日本鉱業会初代会長に就任した。大島が日本の近代化に貢献できたのは、生涯を通じてのあくなき探究心、外国人にも物おじせず積極的に学ぼうとする姿勢があったことが要因の一つと考えられる。
生誕200年の節目にあたり、市教委文化財課世界遺産室の森一欽室長は「大島高任のいろいろな側面を周知できれば。今回はそのキックオフ。普段公開していない資料も多く展示しているので、ぜひこの機会にご覧いただければ」とアピール。市では本年度、鉄の週間(鉄の記念日12月1日の前後1週間)を中心に、大島を深く掘り下げるシンポジウムや企画展などを計画する。大島の生誕地である盛岡や、医学、オランダ語などを学んだ大阪・適塾(史跡・重要文化財)でも企画展(5月26日~6月7日)が開かれる予定。なお、現大島家から釜石市に寄託されていた「大島家資料」694件は本年3月、市立鉄の歴史館に寄贈された。
企画展では、ライマンらが日本初の広域的な地質図(北海道)を作成したことに由来する5月10日の「地質の日」にちなみ、ドイツ人ナウマンが手がけた日本列島東北部の地質図の実物とレプリカの比較展示も実施している。

ナウマンの地質図(東北部)の実物(1886年)とレプリカ(2024年)を並べて展示。「本物はどっち?」
企画展開催期間中は大島高任カード、生誕200年記念缶バッジのどちらかを来館者にプレゼント。あす5日の「こどもの日」特別開館では、中学生以下の子どもに釜石鉱山で取れた鉱石のうち、好きな1点をプレゼントする。

企画展開催期間中の来館者にはカードか缶バッジのどちらかを贈呈

5日「こどもの日」には訪れた子どもたちに釜石鉱山の鉱石1個をプレゼント。お好きな石をどうぞ!

釜石新聞NewS
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